国文学研究資料館 准教授 ダヴァン・ディディエ先生による「中国禅の日本的受用~『無門関』を中心に~」を開催いたしました。

日本文化研究所は昨年来「文化の受容と変容」を共同研究テーマに設定し、講演会・研究会を行うとともに、研究所員が各専門分野のさまざまな観点からそれぞれアプローチしています。令和6年度第1回講演会は、国文学研究資料館 准教授 ダヴァン・ディディエ先生をお迎えして、講演会「中国禅の日本的受用~『無門関』を中心に~」を開催いたしました。

今回のテーマである『無門関』は、日本の禅宗の修行において使用されている禅籍(テキスト)のひとつです。他には、『臨済録』や『碧巌録(へきがんろく)』が有名です。この『無門関』は、宋の時代に中国で刊行されたのち、中国ではまったく注目されてきませんでした。しかし、日本に渡ってからは、日本人が抱いていた禅のイメージとも相まって、広く用いられるようになりました。

昨今の世界的な禅ブームから鑑みると、『無門関』の影響は計り知れないと言えるでしょう。このように、出自の地・中国では、刊行後の短期間を除いて完全に無視されてきた『無門関』が、日本伝来以降、なぜ、かくも著名な禅籍として敬意を払われるようになったのか。日本の禅のどんな動きが、この書物をスターに押し上げたのか。どんな影響をこの書は日本に与えたのか。世界的な禅研究者であるダヴァン・ディディエ先生にご講演いただきました。

最先端の研究成果をふまえた講演であったため、難しい内容もありましたが、学生、教職員だけでなく学外の方々も多数参加され、活気のある講演会となりました。

禅宗に関する卒論に取り組んでいる学生も自分の研究視点から、ディディエ先生と議論することができました。とても貴重な機会をいただくことができ大変感謝しております。

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