インタビュー
- 名前
- 下川 雅弘(しもかわ・まさひろ)
- 出身地
- 京都府
- 担当科目
- 日本文化入門/歴史資料論/地域文化概論/博物館概論/文化財学演習Ⅰ・Ⅱ/博物館実習A(見学実習)/博物館実習C(館園実習)
Q1.専門分野をわかりやすく教えてください。
専門分野は歴史学(おもに日本中近世史)です。大学・大学院生の頃は、私の出身地でもある京都の郊外の中世領主たちが結んだ一揆について研究をしていました。彼らが要求を通すために金品を贈答していたことをきっかけに、おもに中世・近世における贈答文化の社会的役割の解明が、その後の研究テーマとなりました。最近ではお年玉の文化史的研究を進めています。研究のフィールドは京都・大阪が中心なのですが、本学の地元である東京都稲城市との地域連携事業に関わったことから、地域の史跡にまつわる伝承を、文化資源として保存・活用する現実的な方策や、伝承を書き記した地誌や軍記などを、歴史学にとって有益な史料として役立てるための方法に関する研究にも、関西だけでなく関東地方にフィールドを広げて取り組んでいます。
Q2.担当する科目(1つ)の特長についてわかりやすく教えてください。
「日本文化入門」という授業では、世界遺産にも登録されている白川郷・五箇山の合掌造り集落や富士山、京都の伝統的な民家建築である京町家や、本学の地元である東京都稲城市に残された谷戸と里山の文化的景観などを具体例として、まずは伝統的な日本文化の特徴とは何かについて、受講生とともに考えています。また、京町家や谷戸・里山のある景観などが急速に減少しつつある現状を踏まえて、そもそもこれらを残す意義はあるのか、もし意義があるとするならば、これらを文化資源として未来に伝えたり、世界に広めたりするためには、どのような方法が考えられるかについて、受講生に意見を求めます。さらに、受講生各自にとって身近な文化資源を一つ取り上げ、その保存と活用法について発表してもらいます。「日本文化入門」は、何が日本の文化資源となり得るのか、どうすればそれを未来につなげられるのかを、受講生に自分事として考えてもらう授業です。
Q3.大学でのお勧めのスポットや過ごし方を教えてください。
大学の関係者にはほとんど知られていませんが、本学の敷地内には、中学・高等学校のプールの脇から、同校の校舎の脇に通じる遊歩道があります。手入れの行き届いた雑木林のなかを、四季折々の植物を観賞しながら散策すれば、日常の嫌なこともちっぽけに感じられるでしょう。私は学内で息が詰まるようなことがあると、人知れず里山を歩いて解消しています。ただし、危険な生き物が多い初夏から秋にかけては、絶対に立ち入らないでください。
Q4.先生がこれまで経験した中で印象的な旅のエピソードを教えてください。
大学生の頃、私と同じく日本中世史を専攻していた数名の仲間とともに、中世の面影が残る滋賀県内のいくつかの場所を訪れました。一つは京都から福井県の小浜を結ぶ鯖街道沿いにある旧秀隣寺庭園です。室町幕府の12代将軍足利義晴は、戦乱のため山深いここ朽木の地に亡命してしました。この庭園は、そんな義晴を慰めるために作られたとの伝承もあり、戦国の世の光景を偲ばせてくれます。もう一つは琵琶湖の北に位置する菅浦の湖岸集落です。菅浦は、かつては陸路での行き来が困難だった漁村で、中世の惣村の景観を今に伝えています。泊まった民宿では伝統的な郷土料理の鮒ずしなどをいただき、翌朝、親切な漁師さんの船で、琵琶湖に浮かぶ竹生島に渡してもらいました。けれども、入島料が必要な竹生島では、この入島方法が旅に波乱を呼ぶこととなります。諸事情によりその詳細を書くことは控えますが、地元の方々の優しさに助けられ、結果として忘れられない旅の思い出となりました。

旧秀隣寺庭園
Q5.最近読んだ本で印象的な本(1冊)とその特徴を教えてください。
すでに最近ではないかもしれませんが、ちくま新書の一冊として2022年に出版された、佐藤信氏の編による『世界遺産の日本史』です。日本の世界遺産について書かれた本はたくさんありますが、叙述の信憑性が学術的に保証された概説書となると、意外なほどほとんど存在しません。そうしたなかで、本書は2022年時点で世界遺産に登録されていた日本の文化遺産が、それぞれの専門家によって、最新の研究成果に基づき解説されています。世界遺産を通じて日本の歴史や文化を見直す上でも、それぞれの世界遺産を訪れる文化的な意義を理解する上でも、とても便利で役に立つ一冊です。
Q6.高校生へひと言メッセージをお願いします。
皆さんの足元にある地域の文化、さらには日本の文化について興味と理解を深めるためにも、時間とお金の許す限りで、各地の史跡・名所や博物館を実際にできるだけたくさん訪れるよう、ぜひ心がけてみてください。


