インタビュー

名前
太田 啓子(おおた・けいこ)
出身地
大阪府
担当科目
イスラーム文化論/キリスト教文化論/世界の文化と国際接遇/異文化交流Ⅰ・Ⅱ/文化交流論/観光ガイドブック講読/観光文化入門Ⅰ・Ⅱ

Q1.専門分野をわかりやすく教えてください。

専門分野はイスラーム史・イスラーム文化です。父の仕事の関係で5歳から15歳までをサウジアラビアとエジプトで過ごしたことから自然とイスラーム世界に関心を持つようになりました。現在取り組んでいる研究テーマは「イスラーム世界の移動と交流に関する観光史的研究」と「文化遺産の観光活用に関する実証的研究」です。イスラーム教においてはメッカ巡礼という宗教行事が存在し、1年のうちの特定の3日間に約250万人のイスラーム教徒が聖地メッカに集合します。これを現代の観光行動のルーツとして歴史学の視点から分析することを通じ、「過去の史実」と「現在の観光事象」を結びつけることが可能となります。また、イスラーム世界の歴史的建造物や街並みが現代においてどのように「文化資源」として保存・活用されているかを、フィールドワークの手法を用いることを通じて実証的に検証することが可能となります。

Q2.担当する科目(1つ)の特長についてわかりやすく教えてください。

「世界の文化と国際接遇」では、欧米などと比べて比較的情報の少ない中東・アフリカ地域の観光資源を紹介します。特に中東地域には、ローマ帝国時代の遺構やキリスト教に関係する史跡、西欧のルネサンスの基礎となったイスラーム文明の歴史遺産が数多く残されている一方、紛争の影響を受けて破壊されたり、アクセスができなくなったりするなど危機的状況にあるものも数多く存在します。観光資源をテーマに中東・アフリカの歴史、文化、地域の課題も考察します。

Q3.大学でのお勧めのスポットや過ごし方を教えてください。

大学の正門から見る富士山は格別です。私は日本山岳ガイド協会の認定登山ガイド資格を保持しており、富士山シーズンには富士登山ツアーのガイドもしているのですが、富士山は日本が誇る宝であり、世界遺産です。寒い冬の日の朝に正門から富士山を見ると「よし!今日も一日がんばろう!」と思います。そういう理由で私の授業は1限が多めです(笑)

Q4.先生がこれまで経験した中で印象的な旅のエピソードを教えてください。

専門分野の関係から、中東諸国はかなりの数訪れたことがありますが、一番心に残っているのはエジプトのシナイ山です。麓にある聖カテリーナ修道院に史料調査に訪れた際に登ったのですが、シナイ山は旧約聖書に出てくる預言者モーセが神ヤハウェから十戒を受け取った山として知られており、ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラーム教徒にとっての聖地となっています。山頂から見たシナイ半島の荒涼とした景色、見渡す限り砂漠と岩山が続く光景に心を奪われたことを今でも覚えています。

  • 聖カテリーナ修道院&シナイ山
    聖カテリーナ修道院&シナイ山

Q5.最近読んだ本で印象的な本(1冊)とその特徴を教えてください。

最近ではないですが、アメリカの政治学者・東南アジア地域研究者であるベネディクト・アンダーソンが著した『想像の共同体:ナショナリズムの起源と流行』は何度も読み返しています。かつて人々の心の拠り所となっていた宗教共同体が、科学の発展により衰退していく過程において、これに代わる存在として「国民」という共同体が登場し、社会を組織化する役割を果たしました。現在地球上に存在する「国民国家」はこれを受けて18世紀から19世紀にかけて成立したものがほとんどですが、21世紀というグローバル化の時代において、この枠組みはもはや意味を持たなくなってきています。現在世界中で起きている諸問題を考える上でもぜひ1度は手に取っていただきたい本です。

Q6.高校生へひと言メッセージをお願いします。

たくさん勉強し、本を読み、人と出会い、知らない場所に出かけて初めての体験をする、学生時代はそういう経験を積み重ねて、これから社会に羽ばたいていく準備をしてください。「大人」ってとても楽しいですよ!