リレーコラム「私の4年間」 / 「人と関わる4年間」 植竹希未

  • 「人と関わる4年間」 植竹希未

私には芸術的なセンスも、飛び抜けた才能もありません。それに、勉強もあまり得意ではありません。けれども、私は4年の間にたくさんの方と出会ってきたので、人と関わることの楽しさを知っています。

私たちがなるべくたくさんの人と関わることができるようにと、ゼミの先生は出版社に勤務していたときのお知り合いの方や、インターンシップの授業をきっかけに出会った企業の方など、さまざまな立場の方とお会いする機会を設けてくださいました。これがきっかけで、出版社でのアルバイトや学校外で行うイベントに参加させていただくなど、私の関わる人の範囲が広がりました。たくさんの方とお話しすると、たしかに同じ「働く社会人」だけれども、まったく同じ価値観や考えを持つ人はいないことがわかります。でも、どの方も仕事に対して本気、という点では同じだということを感じました。

先生にサンマのきれいな食べ方を教わりました。社会に出るうえで必須ではありませんが、もしかしたら今後上司や仕事で関わる人とサンマを食べに行くかもしれないし、サンマをきれいに食べられるなんてなかなかやるな、という考えの人と食事をするかもしれません。さまざまな人と出会ったからこそ、そういうことがあるかもしれないから、きれいに食べられたほうがいいな、と思うようになりました。サンマの食べ方のように、日々の生活の中で今まであまり気にしていなかったことに目を向けることができるようになったのは、たくさんの人と関わることで、異なる考えを受け入れる大切さや、社会で働くことに対する前向きな気持ちを学ぶことができたからだと思います。

4年間の集大成として、卒業研究では絵本を作ろうと考えています。私はアーティストではないので、新しいアイデアも、クオリティの高い作品も作れません。でも、作品を手に取る相手のことを真剣に考えて、人に伝わる作品を作ろうと決めました。ものづくりを通して相手に何かを伝えるには、斬新なアイデアやクオリティの高さよりも「相手を思いやる気持ち」があることのほうが大切だと、いろいろな人と関わってきた4年間を振り返り、あらためて感じたからです。

就職活動でもその経験は生きました。2社から内定をいただき、4月から出版社で雑誌づくりに関わります。社会に出てからは、もっとたくさんの人に出会います。これからは働く社会人として、仕事や関わる相手に対してつねに本気で向き合おうと思います。そして、来年も秋になったらサンマをおいしくきれいに食べようと決めました。

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