〈知ればナルホド!私の日本文化〉かたちあるもの—土器の世界 (8月3日(土)の体験授業)

みなさん、こんにちは! 日本文化学科3年の又吉美海(またよしみひろ)です。今回は8月3日(土)に行われた小川誠先生による考古学の体験授業をリポートします。当日参加いただけなかった方にも、授業の内容と雰囲気をしっかりお伝えできるように頑張ります!

又吉:小川先生、こんにちは! 今回の授業テーマは「かたちあるもの─土器の世界」ですが、そもそも日本列島に住んでいた人々は、いつ頃から土器を使い始めたのでしょうか?

小川:日本列島に人が住み始めたのは、世界基準の物差しでいうと旧石器時代にあたりますが、土器を使うようになったのは、旧石器のあとに続く縄文時代になってからです。最新の研究成果では、おおよそ1万5000年前くらいのことといわれています。列島の環境変化にともない生活が変化し、それにあわせて土器が作られるようになりました。

  • 土器(炊具)
    土器(炊具)
  • 現代の釜
    現代の釜

又吉:授業では多くの土器の写真を拝見しましたが、昔の土器と現代の器を見比べると、何か形が似ているものが多いように思いますが…。

小川:そのとおりです。本日、スライドでお目にかけた、一人用あるいは多人数用の炊具は、底が丸く、胴体の途中につば状の突出部がめぐっています。底には黒いすすが付着していましたね。これは、釜飯の茶碗、また、ご飯を炊く釜にそっくりです。管状の注ぎ口をもった蓋付きの土器なども、現代の土瓶と発想が同じです。さらに、下に柄が付いたカップ状の黒色磨研土器は、材質こそ異なれ、現代のワイングラスとうりふたつです。このように、使う目的が同じであれば、昔も今も似たようなかたちの器を作る習性が人間にはあります。考古学は、過去のことを扱う学問ですが、一方で現代とのつながりが意外と強いのですね。

又吉:カップ状の黒色磨研土器というと、卵の殻並みの薄さであるというあの土器ですね。私はそのような土器を作り上げる、当時の人々の技術力にも驚きました!
ところで、土器が出現してから、人々の生活は大きく変わったのでしょうか?

小川:そこのところは、皆さんがいろいろと想像してみてください。考えるヒントを申し上げますと、土器が出現すると煮炊きができるようになりました。それまでは、生で食べる、焼く、蒸す、といったところでしょうか。そこにもうひとつ調理法が加わったわけです。さあ、生活はどのように変化したでしょうか。私の考古学の授業では、このように、身近なところに題材をとって、創造的な思考をめぐらせてもらう工夫をしています。歴史や考古学を学ぶおもしろさは、そのようなところにあると思います。

又吉:歴史(考古学)を学ぶには、考えること、創造することが大切なのですね。小川先生、貴重なお話をありがとうございました!

今回のお話で、みなさんはどんな想像をしましたか?煮炊きというと、私は鍋料理をイメージします。縄文時代にも一つの鍋を家族で囲む姿があったのでしょうか。いろいろ想像すると楽しいですよね。

以上、日本文化学科3年、又吉美海からのリポートでした!

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