社会で活躍する卒業生 ~CIEEでコーディネーターを務める甲斐愛望さん~

国際文化学科を2013年に卒業した甲斐愛望さんは、この春国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部に転職し、コーディネーターを務めています。在学中、2年と3年の夏休みに、CIEEを通じて海外ボランティアを体験しました。その経歴を活かし、学生に対する説明会を行うために駒女へ来学した甲斐さんにインタビューしました。

  • 甲斐愛望さん

Q 国際文化学科に何を期待して入りましたか? 入った当初の感想は?

A 日本以外の国の文化、言語、国民性、歴史、民族背景などを学べることを期待していました。入学当初はバラエティ豊かな国際文化学科の先生たちが面白く、アットホームな雰囲気を感じていました。

Q CIEEのボランティアに参加するまではどのような学生生活でしたか?

A 部活に打ち込んでいた高校時代とは違い、大学生活では自分の時間が多くあることに戸惑いました。将来の夢など具体的になかったため、その時間で何をして良いかわからず、ひとまずバイトを始め、さらに他大でハンドボールの混成チームに所属し、そこで過ごす時間が生活の大部分を占めました。また、当時は学内の長期留学プログラムへ参加を希望していたため、勉強にも頑張って取り組んでいました。

Q CIEEに参加したきっかけは?

A 参加を希望していた長期留学プログラムの選考に落ちたことが大きなきっかけです。選考に向け努力をしているつもりでしたが、どこかで気を抜いていて、結果として夢見ていた留学ができなくなり、退学を考えるほど落ち込み、自信をなくしました。ですが、やはり「海外へ行ってみたい。世界中に友達がほしい。英語が話せるようになりたい。夢も目標もないダメな自分を変えたい!」という思いが捨てきれず、もやもやする日々が続いていました。

海外旅行では思い描くものと違うと感じていたころ、CIEEの海外ボランティア説明会が学内で実施されることを知り、昼休みということもあり気軽に参加してみました。すると担当者の話や参加者の様子を映した動画に心奪われ、「探していたものはこれだ!」と感じ、言葉の壁や費用など心配な点もありましたが、様々な準備を行い、両親を説得し、参加を決意しました。

Q 1年目の体験はどうでしたか?

A 1回目の参加は大学2年生の夏休みで、フランスはマルセイユからバスで2時間ほどかかる田舎町の公民館で寝泊まりしながら、1か月ほどその施設の修繕を行う活動に参加しました。CIEEのボランティアは現地集合・現地解散で、日本人が少なく、どこの国に行ってどこの国の人と活動を行っても共通語は英語というところが特徴です。私の場合、13名9ヵ国の同世代の方々とチームを組み、共同生活していました。

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参加当初は全く英語も話せず、会話が聞き取れず、とにかく頷き理解しているような態度を取っており、チームからもどんどん心が離れ孤独を感じ、海外ボランティアに参加すれば何かが変わると勝手に思っていたことに気づきました。ある日の夜、スペイン人のチームリーダーより、「まなみ、話を理解していないのにYESと言っていないかい?」とずばり指摘され、なぜなのか問われました。「私以外みんな英語が流暢でコミュニケーションできているから、恥ずかしくて、申し訳ない」と答えたところ、リーダー含めその場にいたチームメンバーから口々に「何言っているの!英語ができないのは恥ずかしいことじゃない。わからないとか、もう一度教えてと言わないことの方が良くない!」と言われ、衝撃が走りました。英語ができないから友達ができない、輪に入れないのではなく、素直に自分の状況を伝え、助けを求めなかったことがいけなかったなんて・・・!翌日から単語でも絵でもボディランゲージでも、あらゆる手段を駆使し、とにかく自分の気持ちを相手に表現し続けました。

最終的にはメンバー全員ととても仲良くなり、冗談を言い合う(もちろんボディランゲージや英単語のみで)ようになりました。「あなたのキャラクターに会えなくなるのが寂しい!」と言われたほどです。当時のメンバーとは今でも繋がりがあり、今年の2月にはドイツ人の友達が日本にやってきて5年ぶりの再会を果たしました。

Q なぜ2回目も参加することにしたのですか?

A 単なる海外旅行では味わえない魅力に惹かれたからです。ボランティア活動では地域貢献ができるだけでなく、その地域の方々と触れ合わなければわからない生活習慣を知ることもできます。また同世代の友達が世界各国にでき、費用面も工夫次第でヨーロッパに1か月ほど滞在できました。自分の足で様々な国を見て歩き、友達を作りたかった私にとってはぴったりのプログラムでした。

Q 2回目の参加で、1回目と比べて自分自身が変わったと思える点はありましたか?

A まず、語学力の面では1回目と比べ格段に成長していました。駒女にいるネイティブの先生と英会話に取り組んでいたこともあり、サバイバルイングリッシュではありますが、伝えたいことを最低限伝え、相手の話を理解し、英語でやりとりができるようになっていました。また、1回目は日本や日本人と違うことばかりを渡航国や参加メンバーに感じていましたが、2回目はその逆で、共通するところもたくさんあることに気づきました。遠く感じていた海外をとても近くに感じ、住んでいる場所や言葉が違うだけで、みんな同じ人間なのだと強く感じました。

Q 2回目の経験で何を得ましたか?

A 2回目は大学3年生の夏休みにエストニアの首都タリンで2週間、ヒウマーという島で2週間、別々のボランティアに参加しました。活動後は北欧を一人旅し、危機管理に気を配り、ユースホステルの予約、旅をしながら交通手段の選択も行い、さらに自信をつけることができました。

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英語でのやりとりは初回よりはできるようになっていたものの、流暢に話せるわけではなく、「もっとこの微妙なニュアンスを伝えたいのに」ともどかしく感じました。1回目のフランスから帰国後は、一人で海外に行ったこと、少しだけ英語が聞き取れるようになったことが自信になっていましたが、2回目の参加で「もっと」という思いがより強くなりました。

Q 駒女の大学生活で印象的だったことは?

A とにかく教職員の方々がキャラクター豊かで、みんな学生のことを想ってくれていることです。それは所属していた国際文化学科だけでなく、大学・短大全体に言えることでした。また、先生方の研究室にはいつも学生がおり、勉強などの真面目な質問から、恋愛相談やバイト先の愚痴まで色々な話題が飛び交っていました。当時はこれが普通なのだと思っていましたが、現在様々な大学へ行ってみると、学生の生活に寄り添って支えてくれる駒女の先生方ならではの光景だったということに気づきました。

Q 4年次にはどのような就活をしましたか?

A 当時、起業に興味があり、また海外で働くことにも関心があったため、ベンチャー企業を中心に就職活動を行い、社会人と直接話ができるセミナーなどにも積極的に参加していました。100社ほどエントリーし、50社以上の会社説明会に参加、30社近くの採用試験・面接を受けました。

Q 最初の就職先ではどのような仕事をしましたか?

A 製薬企業の臨床開発に特化したベンチャー企業に就職し、営業部に所属していました。新しい業界を作ろうとしている会社で、会社の知名度向上や仕事を頂くために、製薬メーカー、病院などあらゆるクライアントに対する営業活動をしていました。まだ若い会社だったため、営業部に所属しているとはいえ、部署間をまたいだ様々な業務に関わり、同期社員をはじめ、役員・社長レベルの方々とも一緒に仕事を行っていました。

Q なぜCIEEに転職したのですか?

A 前職に不満があったわけではないので、CIEEから選考に加わるチャンスを頂いた時はしばらく考えましたが、学生の頃自分が与えられた成長のきっかけを、今度は学生のみなさんへ還元したいという気持ちが強かったのが大きな理由となりました。

Q 現在の仕事は何をしているのですか?

A 担当大学(関東近郊約40大学・機関)へ赴き、ボランティアやCIEEが日本事務局であるTOEFLの説明会を実施し、プロモーション活動をしています。ボランティアの参加相談からTOEFLの勉強法など、様々な学生さんたちの悩みを聞くこともありますので、今までの経験を活かし取り組んでいます。駒女でも春と秋に学内で説明会を行っていますので、是非来てください!

Q これからどのように活躍していきたいですか?

A まずは目の前の業務をスムーズにこなし、学生の皆さん、大学教職員の皆様の力になれるよう勉強していきたいと思います。

Q 駒女の学生を前にして話して頂きましたが、どのような感想をもちましたか?

A 人生で初めて「武者震い」というものを経験しました。(笑)5年前は後輩のみなさんと同じように向こう側の椅子に座り、スライドを見上げ、ボランティアの説明を聞いていたのです。それが今はみんなを前に話している・・・当時の私からは想像もつかない未来です。また、お世話になった先生方も説明会に参加(6人も!)していただき、プレッシャーを感じるとともに、先生方の愛情を感じとても嬉しく思いました。説明会実施後、すぐに反響がありました。当時、私が頂いた自分を変える・成長させるチャンスを、これからも駒女の後輩たちへ受け継いでいきたいと思います。

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Q 最後に学生のみんなへの言葉をお願いします。

A とにかく「行動あるのみ」です。期待していたことがうまくいかなかったり、なんだかやる気が出なかったり、気が付いたら思い描いていた場所とは全く違うところにいたりと、うまくいかないこともたくさんあります。でもそれらはすべて、皆さん自身の力で大きく変えることができます。

大学受験に失敗し、夢だった留学選考に落ち、目標も何もなくただ過ぎていく日々の時間の中で途方に暮れていた私が、こうして自分の興味を見出し仕事につながっている今があるのは、行動し続けた結果だと思います。

行動はみなさん自身で行うことですが、一人きりでする必要はありません。各学科には学生の声に何時間でも耳を傾けてくれる先生方がたくさんいます。高校生ではなく、大学生のみなさんに対し、先生の方から積極的にチャンスを与えに来てくれることはないでしょう。チャンスはみなさん自身でつかみに行くのです。

大学生活は自分次第でただの最終学歴から、人生を変える大きな時期にもなります。是非自分と向き合い、先生方に相談しながら、充実した学生生活を送ってください。

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