ペルー便り ~青年海外協力隊員として~ No. 2

駒沢女子大学の学生の皆さん、こんにちは。2015年の3月に国際文化学科を卒業した新野佐和子です。青年海外協力隊としてペルーに来て、早いもので1年が経ち、皆さんに報告したいことがたくさんあります。今回は、私の任地であるカハマルカ州サンミゲル郡と、そこの人々との生活を紹介したいと思います。

カハマルカ州について

ペルー北部の山岳地帯に位置するカハマルカ州は、インカ帝国最後の皇帝アタワルパがフランシスコ・ピサロによって幽閉され、最期を迎えた地として知られています。州都カハマルカには、アタワルパが幽閉されていた部屋エル・クワルト・デル・レスカテ(El Cuarto del Rescate) や、アタワルパが愛用していたとされる温泉バニョス・デル・インカ(Baños del Inca) があります。日本とも繋がりのあるクントゥルワシ遺跡や、壮大な岩山が聳え立つクンべマヨなどが観光地として知られています。ここではクイ(天竺ねずみ)、豚、じゃがいも、トウモロコシ、チーズが美味しいと言われており、多く食されています。

  • クントゥルワシ遺跡
    クントゥルワシ遺跡
  • クイ
    クイ

そんなカハマルカの州都から車で3時間程の、標高約2500mの町、それが、私の暮らすサンミゲル郡です。ここでの季節は乾季(4月~12月)と雨季(12月中旬~3月)に分けられます。標高が高いため、一年中秋のような気温で、朝晩は常に寒いです。日中は太陽が出ると半袖でも過ごせる程温かく、太陽が隠れればジャケットなしではいられない寒さになり、日々太陽のありがたみを感じています。また、山の上に位置しているので、景色は雄大で美しく、大地の力を強く感じられます。

サンミゲルの人々

サンミゲルの人たちはとても朗らかです。音楽や踊りが大好きで、温かく、優しい人ばかりです。道を歩けば、牛や羊、豚が歩いたり、お昼寝していたりする姿が見られます。人々は民族衣装のワンピース、帽子を身にまとい、女性たちは器用な手つきで歩きながら、会話しながら、編み物や糸紡ぎをしています。家の前では、織物をしている女性も、多く見られます。この町は、編み物、織物、帽子、焼き物等の手工芸が非常に盛んです。私もその魅力にすっかり引き込まれ、編み物を習っています。

  • 織物
    織物

この郡に、日本人は私1人。到着した当日は、言葉もなかなか通じない、もちろん知り合いなど一人もいない村に1人になった瞬間に大きな不安が襲ってきました。しかし、村の方々は、とても温かく私を迎え入れてくれました。村を歩いて回っている中でも、「いつ着いたの?」「どのくらいいるの?」と、話しかけてくれ、知り合ったおばあちゃんは、歩いて村を案内してくれ、彼女のお友達をたくさん紹介してくれました。会話をしているうちに、緊張や不安も少しずつほぐれていったことを今でもはっきりと覚えています。

村の方々の温かさは初日から今までずっと変わらず、むしろ馴染む程に温かく感じられます。歩いていれば、必ず声をかけてくれ、挨拶をしたり世間話をしたりしてくれます。「日本から来て、今はここに暮らしている」と伝えると、必ずと言っていいほど、素敵な笑顔で喜んでくれ、時にはお宅に招いてくれます。日々、過ごせば過ごすほど、村に知り合いが増え、その皆が友達や親戚のように、親切にしてくれる、そんなサンミゲルの人々が、私は大好きです。

村で学んだこと

この村で、私は多くのことを学びました。特に印象的なのは「食事」についてです。日本で暮らしている時には、全ての食材がスーパーに綺麗に並び、お肉や魚は切られた状態で並んでいることが当たり前でした。食材はあふれ、沢山の残飯に、違和感を覚えながらも目を背けていたのが現実でした。しかし、ここでは大きく異なります。豚や牛がつぶされた姿で売られており、鶏やクイも目の前で捌かれ、調理されることも多々あります。また、村の中心地から少し離れた所に行けば、トウモロコシやジャガイモ以外の食材を満足に食べることができない状態にある家庭も多くあります。

そんな中でも、彼らが食事に招待してくれる時は、お米を1人につき約2合程の量を提供してくれます。初めは、日本との大きな違いに驚いてばかりでした。また、せっかく招待し、財産ともいえる食物を分けてくれているにも関わらず、その大量の食事の全てを食べきることもできないことに、申し訳なさを日々感じていました。その中で、1人の男性が私に「食べることは生きることなんだ。文化の違いがあるから、全部食べきれないことを気にしなくてもいい。でも、私たちの文化は何よりも食べることを大切にしているんだよ」と教えてくれました。毎日、命を頂いているという感謝の気持ち、様々な食材を豊富に得られること、満足に食べられることは決して当たり前ではないということ、そんな当たり前のようで、実はなかなか気づくことができないことを、ここでの生活を通して教えてもらっています。

現在、私はある家庭でホームステイをしています。ホストファミリーは父・母・3歳の妹の3人家族ですが、徒歩10m圏内におばあちゃん、おばちゃん、いとこなど、多くの親戚が住んでいるので、大家族に囲まれ、平日も休日もずっと一緒に過ごし、沢山お話をして、美味しいご飯を食べ、時には日本食を振る舞いながら、過ごしています。最初は1人でどうしよう、と不安だったここでの生活でしたが、家族や同僚が本当の家族のように、娘のように、温かさと愛情でたっぷり包んでくれているので、寂しさを感じずに過ごすことができています。

  • ホストシスターと
    ホストシスターと
  • 誕生日会
    誕生日会

時間や忙しさに縛られずにゆったりとした時を過ごし、顏を合わせれば挨拶や世間話を交わす、誰かが何か問題を持っていれば地域の皆で心配する、そんな人間味の溢れているこの地域に、私はあっという間に馴染むことができました。

こちらでの生活の話が長くなってしまいましたので、私の活動については、次回に報告しますので、楽しみにしていてください。

卒業生の声 :新着投稿