シカゴ留学から学んだこと

人間関係学科4年 岡 沙織

私は2012年9月から10ヵ月間、アメリカのシカゴ「イリノイ工科大学」キャンパス内にある語学学校に留学をしてきました。その体験から学んだことをリポートします。

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留学を決意するまで

身近な人たちの留学体験を聞いたり、1年生の頃、旅行で実際にアメリカ西海岸を訪れたりしたのがきっかけで、早い段階から留学に対して興味はもっていましたが、私にとってはあまり現実味のない“憧れ”に過ぎませんでした。しかし、3年生になって就職活動のことを本格的に考える時期を迎え、自分のそれまでの大学生活を振り返ってみると、目指すものが明確ではなく、誇りをもって自己PRできるようなこともないことに気づかされました。何より、自分に自信がもてずにいました。今までやってきたこと、果たせずにきたこと、やり残したことや、自分の“これまで”と“これから”について考える時間が多くなり、そのとき浮かんできたのが「留学」でした。

考えるきっかけとなったのは就職活動でしたが、留学を決意したのは「もっと広い視野で考えた末の、自分の将来のため」という思いでした。先生方もそれについてご理解くださり、それ以来、多方面にわたりサポートしていただきました。

留学先を選ぶにあたっては、エージェントの方の勧めもあり、日本人留学生が非常に少なく、英語を学ぶのに適した環境だということで、ほとんど悩むことなくシカゴを選びました。

シカゴでの日々

クラスはテストの成績に応じてレベル別に構成され、基本的に1クラス10人前後で行われ、90分間の授業に3コマ参加するのが1日の標準的なスケジュールでした。授業内容はテキストを使った基本的な学習をはじめ、ゲーム、映像、音楽を用いたものなどさまざまでした。

放課後や休日は学校のアクティビティ(スポーツ、映画鑑賞、ミュージアム鑑賞、BBQなど)に参加したり、ホストファミリーと食事をしたり、友人とダウンタウンへ行くなどして過ごしていました。定期的にバケーションもあったので、友人とレンタカーや飛行機で他の州へ旅行に出かけることもでき、グランドキャニオン、セドナ、ニューヨーク、ラスベガス、ロサンゼルスなどを訪れました。

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ハロウィン、クリスマス、ニューイヤー、イースター、プロムパーティーなど、イベントやパーティーもたくさん経験しました。クリスマスは、日本とは違い、家族で過ごすイベントでした。その他にも、夏になると毎週末に音楽フェスや、フードフェスといった多くのフェスティバルが開催されていました。

キャンパス内でグローバルな友人関係が築けたのはもちろん、ホームステイやパーティーを通じてさまざまな人びととの出会いにも恵まれました。ネイティブアメリカンと交流したり、日本が大好きで流暢に日本語を話すアメリカ人と親しくなったりもしました。帰国後も各国の友達とSNSを使って近況報告をしたり、写真を共有したりと、互いに連絡を取り合っています。留学先で築いた交友関係は、たとえ一緒に居た期間が短くても、一生ものだと思います。

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留学を通じて学んだこと、気づいたこと

授業に関しては、今まで経験してきた“勉強”とは全く違い、コミュニケーション力、想像力、創造力などを組み合わせながら英語を身に付けていく、といった感じでした。たとえば、「あったら便利だな」という理想の商品をグループでアイディアを出しながら考え、絵や文章にまとめて他のグループや先生にプレゼンする授業があり、ただ机に向かって勉強するだけではなく、話し合いによってコミュニケーション力や会話力を鍛えながら新しいボキャブラリーや表現を学ぶことができました。

自分のこと、自分の国のことについて話す機会もとても多く、政治や文化のことなど、尋ねられて初めて、自分は日本のことをよく知らないなと感じました。他国のことを知ることによって日本のことを知る場面がしばしばありました。異文化に触れたことにより、日本文化に対する自分の関心が高まったのは予想外のことでした。

コミュニケーションについて学んだこと

出身国によって宗教や文化が異なるのはもちろんですが、考え方や行動にも国民性というものが表れていたようでした。それに加えて、クラスメイトはみな、英語を母国語ではない言語として使っているので、英語力にも個人差があります。そんななかで相手と意思の疎通を図る必要があり、用件を伝えることさえもスムーズにいかないことも多々ありました。それでもどうにかして伝えようとしなければ生活していけません。

そのような状況を経験し、言葉以外のコミュニケーションというものも意識するようになりました。態度や表情、動作を加えることによって伝わり方は非常に変わります。人と直接的に関わるうえでとても重要なスキルだと身をもって理解することができました。

私自身はもともと、あまり積極的な性格ではありませんでしたが、何かを尋ねたい、頼みたい、という状況におかれたとき、知り合いのいない環境では自分からアクションを起こすしか方法はありませんでした。幸か不幸か、シカゴは日本人留学生が非常に少なかったため、行動力、コミュニケーション力と英語力を同時に鍛えることができました。帰国してからも、明らかに以前の私より、自分から人に話しかけたり、何か行動を起こしたりすることにとても積極的になれたと感じています。

留学を通じて経験したすべてのこと、出会ったすべての人びとが、まちがいなく私の人生をかたちづくるひとつの大きなピースになりました。

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