卒業式、入学式、そしてゼミ -人間関係学科の新学期-

2017年5月6日 人間関係学科主任 小林憲夫

いよいよ2017年新年度が始まりました。4月2日の入学式、6日からの新学期スタートとそれに続く基礎ゼミ合宿、そして3・4年生の専門ゼミも開始され4年生は就職活動と学業の二本立てになります。例年この時期にはこうした事柄のいずれかを書いているのですが、今年は人間関係学科の完成年度(詳しくは後述)でもあるので、学科全体の様子を報告したいと思います。まずは入学式ですが、勿論その前には卒業式があります。3月25日の卒業式では、人間関係学科の第一期生が卒業しました。女性らしく美しく着飾り、自信にあふれて生き生きとした笑顔が印象的だった卒業生について最初に述べます。

例年卒業式の前日には「予行演習」を行い卒業生が集まるのですが、人間関係学科の出席はわずか5名。総代(首席)と本山賞(次席)は賞状の授与があるので当然出てこなくてはなりませんから、50名近い卒業生のほとんどが来ないという有様でした。隣の学科は卒業生数が人間関係学科の半分なのにほとんどが来ています。他の学科の先生からも「人間関係学科は大丈夫か」という声が聞かれました。しかし、私はそれほど気にしませんでした。人間関係学科で学んだ学生は自律的な判断が可能で、予行演習参加は強制でなく任意であり、それを踏まえて各自が自分で考えて行動した結果だと思っていたからです。

もちろん翌日の卒業式には期待通り全員が美しく決めて時間に遅れず明るく参加してくれました。「本番はきちんとこなす」これが今年の人間関係学科卒業生の「人間力」なのです。今年の卒業生アンケートでは、学科教育に対する満足度の高さがとても印象的でした。人間関係学科の教員には社会人経験を長期にわたって経てきた(あるいは現在でも企業に属していたり企業との接点を数多く持っていたりする)教員が多く、社会が大学教育において何を学生に求めているのかをリアルに感じています。こうした背景が人間関係学科の講義内容に反映され、卒業生の就職率や満足度の高さに結び付いているのでしょう。

4月2日は入学式。駒沢女子大学は2018年度募集から「学群制」という新しいカリキュラムになりますので、入学試験や専攻学科システムはすべて変わります。したがって2013年度からスタートした現在の新カリキュラムでの入学者は本年度限りとなります。新入生数は定員を超える74名、この新しい仲間を責任もってサポートすることが学科の最後の務めなのです。人間関係学科として独立し独自のカリキュラムを編成して学生募集を行いわずか4年間ということになりますが、本年度は学科教育(カリキュラムポリシー)の真価が試される完成年度でもあり、専任をはじめとして教員の意欲は十分に高く充実しています。

人間関係学科は4年間をかけて「コミュニケーション力」を身に付け、社会人として相応しい「人間力」を備えた女性を養成する学科です。私は入学式で「友達」「教養」「自信」の三点を「約束」としてお話ししました。これは大学的にはディプロマポリシー(卒業時に学生が備える要件)に相当します。大学生活を楽しみ将来を充実させるために大学時代の友人は大切です。そしてもちろん大学は知識と教養を身に付ける場であり、少人数の教育環境や教員の質・意欲では他の大学に負けないという自負があります。最後の自信は、学科のカリキュラムポリシーである人間力を身に付けることで、学生自身が社会で活躍できるという自覚と自負を持つことです。大学での教育は卒業後に必ず役に立つものですが、人間関係学科での学びはかなり直接的な効果が期待できると思います。

人間関係学科では、新入生を対象に「基礎ゼミ合宿」を毎年4月末に行っています。合宿の目的は「友達作り」と「教員を知る」です。本学科は1年から4年まで学生全員がいずれかのゼミに属し、1・2年はクラス分けを学科が行なう基礎ゼミ、3・4年は学生が自分の研究分野に応じてゼミを選ぶ専門ゼミです。専門ゼミは学生の興味や研究分野に応じた選択なのでゼミによって人数が異なり、基礎ゼミは大学生活に必要な基礎知識や基礎教養の育成を目的に各教員均等に学生を振り分けたクラス単位で運営します。これまでの経験で、学科目標として挙げた三点のうち「友人」は早期に見つけないと後の大学生活にも影響することが分かっていますので、この合宿は非常に有意義だと考えています。学科として最後の基礎ゼミ合宿は、例年通り晴海グランドホテルで新社会人の研修に混じって無事に終了しました(下図は基礎ゼミ合宿での集合写真)。

人間関係学科の専門ゼミは2年間かけてゼミ論文を必ず書くことになっており、担当教員の変更はできません。大学に相応しい研究を、時間をかけて行ってほしいからです。学生はどこも同じで、単位の取得が簡単だと噂されるゼミがあるとそこに人気が集中します。そこで本学科では、学生が自分の興味関心や研究分野に応じた専門ゼミを選べるように、ゼミの条件を同じにするとともに2年後期には各教員によるゼミ紹介の時間を十分に取っています。4月の新学期からは、今後2年間学ぶことになる専門ゼミで自分が選んだ指導教員との新たな研究が始まります。3年生が新入生と同じように緊張しながらも目を輝かせてゼミに臨む姿を見るのは、教員にとっても身が引き締まる瞬間です。

人間関係学科には、基礎ゼミの他にも教員全員で担当する授業がいくつかあります。通常こうした科目は教員が順番に登場する持ち回りの形式になりますが、本学科はつねに教員全員が参加するように心がけています。全員で担当する目的は教員の専門分野による視点の違いを通して学問の多様性を学生に理解させることにあり、そのためには同じテーマで教員全員が論じる必要があるからです。5月に入り、桜の花もすっかり青葉に変わりました。先生たちの意見の相違に最初は戸惑う学生達も、数回の授業を経るうちに次第に慣れてきたようですが、そろそろ学科では「5月病」の心配をしなくてはなりません。今年度の新入生が4年後に社会人という次のステップに自信を持って進めるまで、人間関係学科の教員は日々緊張感をもって努力しています。

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