【心理学科(設置届出済)】授業紹介:「心理学の基礎」里親制度について専門家にご講演いただきました。
2024/07/30
「心理学の基礎」は、2年次の基礎教養クラスの位置付けで、大学生活2年目となる時期に改めて大学での学びとは何かということを見つめ直し、1年次よりもさらに主体性をもって学びを深めていくための基本的な技術と姿勢を養うことを目標とした講義です。特に、外部講師を招いて通常講義ではなかなか実施できないような内容を取り入れ、自身の進路についても具体的なイメージを持てるような内容にしています。※
昨年に引き続き、7月4日と11日の2週にわたって、多摩児童相談所フォスタリング機関二葉学園(たまふぉす)の里親委託等推進員の青木貴志氏と里親リクルーターの弓削智美氏、区市町村連携コーディネーターの戸田桃子氏を講師にお招きして、里親制度についてご講演いただきました。
フォスタリングとは、愛育する・養育するfosterに由来しており、里親を英訳するとfoster parentとなります。ここから日本の里親支援に関する業務を包括的に行う機関をフォスタリング機関と呼んでいます。東京都のフォスタリング機関の業務は、(1)里親のリクルート、(2)里親の登録前/後・委託後の研修、(3)里親委託推進等の業務、(4)里親の訪問等の支援、(5)里子の自立支援・アフターケアの5つになります。これまでは、児童相談所がフォスタリング機関という位置付けでしたが、さまざまな理由から、東京都社会的養育推進計画(2020年3月)の中で民間フォスタリング機関を設置することとなりました。同年10月に都内で初めて、たまふぉすが民間フォスタリング機関としてスタートしました。
全国における社会的養護を必要としている要保護児童数は、42,000人ほど(東京都は約4,000人)いますが、全国の里親等委託率は23.5%程度(令和3年度末)と施設で暮らしている児童が圧倒的に多いのが現状です。青木氏からは、里親制度とはなにか、また社会的養護や里親制度の現状や課題について歴史的な背景から、現在に至るまでの状況をお話しいただきました。また弓削氏、戸田氏からもご自身の体験を踏まえた貴重なお話をうかがうことができました。心理学を学ぶ学生にも関心の高い「児童福祉」の領域に関わる内容を、直接現場の方から実情を聞くことができる機会はなかなかありません。
以下に学生の感想の一部を掲載します。
- 2週間のご講演ありがとうございました。児童福祉や里親制度に関連する講義を通じて、これまでなんとなくしか分からなかった児童支援についての内容を詳しく説明していただき、深く理解することができ、とても身近に感じられるようになりました。この講演で具体的な事例や制度の仕組みについて学ぶことで、これまで以上に関心を持つようになりました。自分の将来についてはまだはっきりとはわかりませんが、このような制度が自分や周りの人々にとって大いに役立つ知識を得られたと感じました。実際に学ぶことで、児童福祉や里親制度が社会においてどれほど重要であるかを理解し、さまざまな里親制度があることを学びました。貴重な学びの機会を得られて、本当に良かったです。
- 里親制度と支援について学ぶいい機会になりました。昔から子どもに携わることのできる職に就きたいと思っていたので、いろいろと吸収することができました。フォスタリング機関があることを今回の授業を通して初めて知ることができました。ドラマ等でみる里親ほど簡単になることはできないことや貯金なども関係することを知りました。また、家庭での養育が難しい場合は出来るだけ環境が家庭に近い里親が養育するという必要性があると聞いた時、子どものためにしっかり作られていると思いました。
- 里親制度について、この授業がなければ知ることはなかったと思うため、知ることができてよかったです。フォスタリング機関の存在を初めて知り、里親制度に関するさまざまな事業を行っていることがわかりました。講義を聞いて、里親についてのイメージが変わりました。今までは、里親と聞くと子どもが大人になるまで育てるというイメージでしたが、大人になるまでではなく一定期間育てる場合もあるということを知りました。里親になるにはさまざまな条件があり、難しいと感じました。また、「子どもの最善の利益を考える」ということは忘れがちになると思いますが、一番重要なことだと感じました。「子どもが欲しいから」という理由だけで里親になろうとする人もいると思いますが、最も重要なのは「子どもの最善の利益」であり、里親制度の目的を理解しなくてはいけないと感じました。
- ※ 共創文化学部 心理学科(設置届出済)の前身である人間総合学群 心理学類の学びを紹介しています。