必修科目

  • 臨床心理学特論Ⅰ・Ⅱ
  • 臨床心理面接特論Ⅰ(心理支援に関する理論と実践Ⅰ)・Ⅱ
  • 臨床心理査定演習Ⅰ(心理的アセスメントに関する理論と実践)・Ⅱ
  • 臨床心理基礎実習Ⅰ・Ⅱ
  • 臨床心理実習ⅠA・B・C・D(心理実践実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ)
  • 臨床心理実習ⅡA・B・C・D
  • 臨床心理学研究実践Ⅰ・Ⅱ

選択必修科目

  • 精神医学特講(保健医療分野に関する理論と支援の展開)
  • 障害者心理学特講(福祉分野に関する理論と支援の展開)
  • 学校臨床心理特講(教育分野に関する理論と支援の展開)
  • 司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開
  • 産業・労働分野に関する理論と支援の展開
  • 心理療法特講A・B・C(心理支援に関する理論と実践Ⅱ)・D(心理支援に関する理論と実践Ⅲ)
  • 家族心理学特講(家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践Ⅰ)
  • コミュニティ・アプローチ特講(家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践Ⅱ)
  • 心の健康教育に関する理論と実践
  • 認知心理学特講
  • 人格心理学特講
  • 異常心理学特講
  • 社会心理学特講
  • 心理学研究法特講
  • 臨床心理学研究法特講

修了要件

2年以上在学し、必要単位(必修科目:22単位、選択必修科目:10単位、合計:32単位)を修得し、修士論文審査に合格すること。修士論文指導の教員は、本人の希望と研究テーマに基づいて専攻会議で決定します。

学位

修士(心理学)

取得資格

公認心理師

卒業した大学課程(学部)での単位取得科目が国の指定する要件を満たしており、かつ、大学院課程で指定の単位を取得して修了すると、公認心理師の国家試験の受験資格が得られます(2024年3月修了見込み者からは、修了前の2月頃が受験日となる予定です)。

臨床心理士

本学は臨床心理士養成に関する第1種指定大学院なので、修了すると(公財)日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士」資格試験の受験のための資格が得られます。〈(公財)日本臨床心理士資格認定協会指定の必修科目と選択科目を用意しているので、単位を取得すれば、「臨床心理士」資格試験の受験資格が取得できます。〉

時間割

2023年度 修士課程1年生 前期(例)


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【前期集中講義】産業・労働分野に関する理論と支援の展開、障害者心理学特講(福祉分野に関する理論と支援の展開)、精神医学特講(保健医療分野に関する理論と支援の展開)、臨床心理学研究法特講

2023年度 修士課程1年生 後期(例)


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【後期集中講義】臨床心理基礎実習Ⅱ

  1. …必修科目(必ず履修しなければならない科目)
  2. **…選択必修科目(興味・関心に合わせて選択する科目)
  3. …公認心理師受験資格を得るために必要な科目

講義の内容

臨床心理学特論I
綾城 初穂

公認心理師・臨床心理士となる上で必要不可欠な専門職としての知識及び資質を培うことを目指す。臨床心理学の歴史、法律、理論、研究、実践領域、実践方法など、専門的な学習を行う上で前提となる知識を学ぶ。また、プレゼンテーションやディスカッションを通して、臨床心理学を実践・研究する上で基盤となる、適切な情報の集約や他者とのコミュニケーションの在り方についても修得する。

臨床心理学特論Ⅱ
藤城 有美子

心理専門職としての将来の活動の土台を形成するために、本講の前半では、臨床心理学の実践面に目を向け、臨床心理面接の導入期からアセスメント、心理療法にいたるまでの過程で遭遇しやすい問題を、臨床分野や学派を越えて取り上げる。後半では、心理臨床活動における研究的アプローチについて扱っていく。各自が選んだ臨床心理学の先行研究、とくに調査研究の学術論文を検討の素材とし、背景理論の特質・意義・課題などを検討するとともに、臨床心理学研究における方法論とエビデンスについて理解を深める。

臨床心理面接特論Ⅰ(心理支援に関する理論と実践Ⅰ)
綾城 初穂

臨床心理面接の基本的な技能と態度を学習することを目的とする。特に本授業では社会構成主義的な視点も導入し、クライエントを孤立した個人として捉えるのではなく、さまざまな文脈の中に位置づく存在として捉え、クライエントと協働する臨床心理面接がどのように達成できるかについて学んでいく。また、多文化的な視点や学習者自身の省察も一貫して取り上げていく。

臨床心理面接特論Ⅱ
飯田 敏晴、藤城 有美子

初回面接(受理面接)の前後で重要な事柄(守秘義務、インフォームド・コンセント、治療契約など)、初回面接の仕方、面接記録の書き方などについて、文献講読によって学ぶとともに、ロールプレイで体験的に学習する。

臨床心理査定演習Ⅰ(心理的アセスメントに関する理論と実践)
飯田 敏晴、依田 尚也

臨床心理査定(アセスメント)は、人間の心理的特性を幅広く測定・評価するという点で、単なる病理診断とは異なる。心理的アセスメントの意義と基本的視点を学び、さらに心理的アセスメントとして用いられることの多い心理検査の中から、ウェクスラー式の知能検査を中心に理論と方法を修得する。また、心理に関する相談、助言、指導等への応用について学ぶ。

臨床心理査定演習Ⅱ
飯田 敏晴、藤城 有美子、依田 尚也

臨床心理査定の実施とその解釈、所見のまとめ方を学ぶ。ロールシャッハ・テストを中心に、実施の方法、スコアリング、量的分析、継起分析を学ぶ。また、ロールシャッハ・テストの事例を通じて、病理の現われ方を学ぶ。さらにテスト・バッテリーを組むことによって、パーソナリティを多層的に捉えることについて学ぶ。また、得られた情報をクライエントにどのようにフィードバックするか、その実際を修得する。

臨床心理基礎実習I
齊藤 和貴、藤川 麗

臨床心理面接法の基礎的理解と技能・技術を養うために、学内の心理相談センターの面接室を使用して、主としてカウンセリングのロールプレイングを行い、その逐語録を検討し臨床的態度や技能を身につける。さらに、グループ・カンファレンスで事例のより詳細な検討を加える。

臨床心理基礎実習Ⅱ
綾城 初穂、飯田 敏晴、齊藤 和貴、藤川 麗、藤城 有美子、依田 尚也

学外実習への準備として、学内で行う臨床実習である。他大学院と合同で試行カウンセリング実習を行い、セラピスト体験やクライエント経験を通して臨床心理面接の基礎的な実践技能、心理査定に関する知識と技能、ケース・マネジメントに関する技能、職業倫理・法的義務について理解を深める。

臨床心理実習ⅠA・B・C・D(心理実践実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ)
綾城 初穂、飯田 敏晴、齊藤 和貴、藤川 麗、藤城 有美子、依田 尚也

臨床現場で必要とされる高度な実践力を養うために、臨床心理実習ⅠA・B・C(心理実践実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)ではそれぞれ教育分野、保健医療分野、福祉分野の機関で継続的な学外実習を行い、実習先での指導、および、小グループでのケース検討会において教員からの指導を受ける。臨床心理実習ID(心理実践実習Ⅳ)では駒沢学園心理相談センターで学内実習を行い、教員の指導の下、陪席やケース担当のほか、センター運営やアウトリーチについても実践的経験を積む。

臨床心理実習ⅡA・B・C・D
綾城 初穂、飯田 敏晴、齊藤 和貴、藤川 麗、藤城 有美子、依田 尚也

院生が心理相談センターで陪席したインテークや、自分で担当したケース、学外実習における心理臨床活動について発表し、公認心理師・臨床心理士資格を持つ教員からスーパービジョンを受ける時間である。発表や他の院生とのディスカッション、教員からのコメント等により、各自が臨床的理解を深め、インテーカーやセラピストとしての在り方を学び取っていく。

精神医学特講(保健医療分野に関する理論と支援の展開)
竹島 正

精神保健とは、人間とその行動の理解を踏まえ、「共に生きる社会」の実現という理念のもと、社会におこるさまざまな問題の実態と関連する要因を明らかにしつつ、社会との協働によってその解決を図り、社会をよりよいものにしていく活動をいう。精神保健の歴史、考え方、地域実践を学び、受講者自身の精神保健についての考えを深め、自らの生き方や実践の素材とすることを目的とする。

障害者心理学特講(福祉分野に関する理論と支援の展開)
小林 玄

近年の障害の捉え方や法律、制度を概観し、それぞれの障害特性を理解した上で、個々のニーズに即した支援の在り方を実例も交えながら考察していく。扱う障害は、肢体不自由、視覚障害、知的障害等の他、近年、医療や心理教育相談の場で扱うことが多くなった発達障害について、主訴から支援方針の立案までを詳説する。学校、相談室、医療機関で用いることの多い知能検査や認知発達検査についても言及し、現場に出たときの実践力にもつなげていく。

学校臨床心理特講(教育分野に関する理論と支援の展開)
綾城 初穂

教育領域に関係する知見や諸問題を、心理学的な観点から学ぶ。具体的には、教育心理学や発達心理学に関する知見や発達障害をはじめとする臨床心理学的知見に加え、いじめや不登校といった学校で生じる諸問題の理解や考えられる対応について学びを深める。対応については、いくつかの臨床心理学的理解に加え、主にナラティヴセラピーに基づく考え方を扱う。

司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開
田中 教仁

少年事件では、家庭裁判所調査官の社会調査や少年鑑別所の資質鑑別により非行の科学的分析が行われる。一方、刑事事件でも、応報的な罰だけではなく、犯罪に至った人の社会的な躓き、発達上の課題等を踏まえて適切な援助をする「治療的司法観」が世界的に広がっている。そのような状況を概観した上で、犯罪や非行のアセスメント、処遇、被害者への支援といった領域において、心理専門職が果たしうる役割について学んでいく。

産業・労働分野に関する理論と支援の展開
割澤 靖子

産業・労働分野では、Covid-19の蔓延をはじめとする予測不能かつ多様な変化への対応を迫られ続ける個人と組織が心理援助の対象となる。支援に際しても、特定の支援モデルに即して対応することには限界があり、いかなる変化にも臨機応変に対応できるよう、個人と組織に即した支援を柔軟に展開することが求められる。本講義では、産業・労働分野における基礎的な理論や法律の知識を修得することを第1の目的とする。そして、本領域で求められる柔軟な心理援助の在り方について、企業における心理援助の実際に触れながら、実践的に考える力を身につけることを第2の目的とする。

心理療法特講A(遊戯療法)
織田 邦彦

プレイセラピー(遊戯療法)を理解するために、子どもによくみられる問題や症状、子どもの問題や症状を理解するために役立つ発達理論を学んだ上で、本にのっている実際のプレイセラピーの事例について興味を持った事例を各自発表し、全体でディスカッションを行う。さらに、プレイセラピーの実際の感覚に近いものを味わうために、プレイセラピーの演習を行う。また、プレイセラピー同様に、教育相談機関などで用いられている箱庭療法についても、グループで箱庭を制作する。

心理療法特講B(芸術療法)
依田 尚也

絵画療法を代表とする芸術療法について学び、心理療法における非言語的なアプローチ、および、その適応と注意点について理解する。また、受講生同士で各技法を試行し合うことで、芸術療法におけるクライエント‒セラピスト関係の重要性について体験的に学ぶ。さらに、芸術療法に関する事例論文を読み込み、その臨床的意義と限界についても検討する。

心理療法特講C(心理支援に関する理論と実践Ⅱ)(認知行動療法)
片岡 優介

近年臨床心理の現場ではエビデンスに基づく治療と援助への要請が高まっている。その中で認知行動療法(CBT)による心理実践が多くの精神疾患や心理的な問題に対して有効な治療となることが確認されてきている。日本においても医療現場のみならず福祉・教育・司法・産業分野など幅広い現場で働く公認心理師、および臨床心理士にとってその知識やスキルは必須なものになっている。本授業では認知行動療法の基礎的な理論を理解し臨床現場で応用することのできる力を育成することを目的とする。認知行動療法は、セルフケアとしても活用できるアプローチである。来談者に対して使えるようになるだけでなく、受講生自身がセルフケアに使えるようにワークを用いながら体験的に理解できることを目指す。

心理療法特講D(心理支援に関する理論と実践Ⅲ)(精神分析的心理療法)
藤城 有美子

この講義は演習形式で行い、精神分析的心理療法の概略と、そのために必要な基礎知識を身につけ、ケースを精神分析的に理解できるようになることを目標とする。精神分析的な治療とは、第一にはフロイトが創始した精神分析の実践を指すが、わが国の臨床分野での実践形態としては、より幅広い応用が含まれている。ケースおよびセラピスト自身の内面を深く理解し、それを治療に活用していくことは、心理療法を進めていく上で非常に有用である。

家族心理学特講(家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践Ⅰ)
田中 教仁

家族心理学の知見は、医療、福祉、教育、司法などさまざまな実践領域で活用されている。これは、家族全体を援助の対象とするだけでなく、個人を援助していく上でも、家族という要素を切り離して考えることが難しいことを示しているといえよう。本講義では、個人や家族が直面する諸問題の理解と援助方法について、精神分析的力動論、家族システム論などさまざまな立場の理論を紹介し、夫婦の危機(離婚、DV)、児童虐待、高齢者虐待、犯罪・非行などについて、適宜臨床素材を用いて検討を深めていく。

コミュニティ・アプローチ特講(家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践Ⅱ)
藤川 麗

集団や地域社会に働きかける心理学的援助に関する理論と方法として、グループ・アプローチとコミュニティ・アプローチの基本的理論と技法を学ぶ。まず、グループ・アプローチの歴史と発想を学び、代表的なグループ・アプローチの1つとしてソーシャル・スキル・トレーニングを体験する。次に、コミュニティ・アプローチの歴史と発想を学び、危機介入法、コンサルテーション、多職種間の連携・協働といった方法をロールプレイやグループワークを通して体験的に学習する。

心の健康教育に関する理論と実践
藤川 麗

心の健康に関する知識普及を図るための教育、情報提供の方法を学ぶ。心の健康教育の背景となる社会状況(施策など)について理解した上で、多様な対象(うつ病、薬物依存症、心的外傷後ストレス障害<PTSD>など)に対する心の健康教育の実際を学ぶ。また、支援者のメンタルヘルスケアについても学ぶ。ストレス・マネジメントの基礎的な理論と技法を学び、それらを活用して実際に心の健康教育プログラムを企画し、授業内で試行することを通して体験的に学んでいく。 

認知心理学特講
丸山 慎

人間の認知のメカニズムを包括的に理解するためには、脳や中枢神経系の成熟・変化について知るだけではなく、身体と認知の関係および人間が遭遇する多様な環境との相互的(ないし相補的)な関係のダイナミクスについても知る必要がある。本講義では、とくに近年の認知科学における「身体性認知」、「生態学的心理学」などのアイディアに焦点をあて、“こころの動き”の本質にアプローチする方法について、改めてラディカルな視点から議論していく。

人格心理学特講
関 真粧美

人格理解のための理論について学ぶ。授業では最初に、類型論、特性論、精神分析的人格理論、行動主義的学習理論、人間性理論といった、主要な人格理論について講義する。その後はテキストを用いて、精神分析的な人格理論の理解を深める。精神力動的理解の基礎となる知識を身につけることで、心理療法、および心理査定における人格理解の一助となることが講義の目的である。

異常心理学特講
関 真粧美

臨床心理学の実践および研究における心理的問題や精神病理について理解する。特に、力動的な視点を援用し、クライエント本人の主観的な苦痛の体験についての理解を深める。症状名や診断名という切り口からだけでなく、当事者の主観的苦痛を想像し理解しようとする姿勢を身につけるためには、自分自身の主観を観察し、言語で表現できるようになることを重視する。

社会心理学特講
永房 典之

臨床場面では、自己の性格、対人関係の悩み、集団内または集団間の葛藤、異文化への不適応といった問題が考えられる。また、このようなこころの問題やカウンセリングでは、自己の「感情」へのアプローチが重要な役割を果たすと考えられる。本講義では、自己の感情を専門的に学びつつ、社会心理学の基礎・応用的理解を目指す。また、社会心理学では、実験や調査などの実証的研究知見が多いことから、受講生自身の研究、修士論文作成に向けた調査票作成・統計処理やそのまとめ方の指導も行う。

心理学研究法特講
冨士原 光洋

臨床心理学研究に用いられる観察法と質問紙法の理論と技法について講述する。観察法では、参加観察法、アクションリサーチの研究事例をあげ、その有効性と問題点を明らかにし、調査法では、質問紙のワーディングの影響による回答の異なりやサンプリングなどの問題を取り上げ、実践的技法について検討する。

臨床心理学研究法特講
稲吉 玲美

「こころ」の問題に対する援助活動を行っていく者に求められる重要な社会的責務の一つに、援助を求める人に対して確かな知識や技術的なかかわりを提供することがあげられる。この責務を果たすためには、臨床心理学的研究活動を行い、確かな知識や技術的なかかわりを裏づけるデータを積み上げる態度が求められる。そこで本講義では、臨床心理学研究に関する基本的な知識を学ぶことを通して、「こころ」の多様なありようを科学的視点から捉える力を養い、それらを実践の場に還元していく可能性を考える力を培うことを目的とする。

  1. ※ 年度によって開講しない科目もあります。