国際文化学科教員による授業紹介リレー No. 9 「比較文学比較文化」

英語コミュニケーションコース 井戸 桂子

グローバル化時代に考える、「日本の文化と西洋の文化」

いま、外国の映像や商品が私たちの周りには、あふれています。しかし、どんなに外国の食品を口にし、商品を身につけたとしても、また、外国語が流暢に操れたとしても、私たちが日本人であることには変わりありません。そして外国を知った上で、日本とは?自分とは?と、考え始めるのです。

現代でさえ、そうなのですから、初めて外国に接した日本人の驚きは、いかばかりでしょうか。

西洋の衝撃と日本

この授業では、日本人が、西洋文化・キリスト教文化に初めて接したときの「衝撃と憧憬と葛藤」について考えます。

西洋人がなぜ、16世紀に東洋に関心を持ったのか?1549年、ザビエルがなぜ来日することになったか? まず、西洋文化の波の日本への到達を、世界史の流れの中で把握します。地球儀の上から、日本を眺めてみましょう。

さらに、小さな島国の日本人が西洋文化の波を浴びて、どんな反応をしたのか、実際の文章に探ります。

第一次資料を読みます

最初の波は、キリスト教です。その影響を、17世紀初頭のキリスト教の翻訳文学のひとつ、『こんてむつす・むん地』を読んで確かめます。その美しい訳文には、当時の日本人の教養の高さと篤い信仰心が読み取れます。

最も大きな波は、明治時代の欧米列強諸国の波です。そのとき、積極的に欧米に見学に出掛けたのが、岩倉使節団一行です。佐賀藩出身の久米邦武が記した格調高い外国見聞記録は、明治文学の白眉です。

このように、大学では「第一次資料」といって、原文を読みます。現代語訳でもなく、書き直したものでもありません。当時の人々が見たまま、考えたままの直接の声を、聞き取ります。そして日本の先人たちの受けた衝撃を分析し、世界の中の日本を時間的、空間的に正確に把握します。

この授業が、あなたが実際に外国文化を理解するときの羅針盤となれば幸いです。

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