授業紹介『哲学特殊講義』〜「哲学」を学問する本当の意味とは〜

「哲学」の起源は、3千年以上も前に遡ります。哲学者たちは、あらゆる学問が基盤としている概念を発展させることで、人文科学の確立に大きく貢献してきたのです。さらに、理性と論理を用いてアプローチが可能なあらゆる問いに対して、その答えを導き出すために、多くの哲学者が試行錯誤を繰り返してきたのです。

『哲学特殊講義』では、そうした哲学の原点に立ち返り、問題にはしばしば多様な解決策があることを見出し、いくつかの異なる視点からさまざまな問題にアプローチすることを考えていきます。この学びを「水平思考」といいます。
こうした哲学的思考を深めるためには、過去の偉大な思想家の研究を学び、思考と問題解決に対する、私たち自身の方法論的アプローチを常に開発する必要があります。
2020年度前期の『哲学特殊講義』では、古代ギリシャ哲学のうち、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、ヘレニズム哲学、ストア派の主要な論点を学びました。プラトンの初期対話篇『ソクラテスの弁明』、『ゴルギアス』と『饗宴』、並びにアリストテレスの『ニコマコス倫理学』と『詩学』を読み解いていきました。
西洋の古代哲学とともに、中国の孔子の『論語』、老子の『道徳経』、さらに日本仏教の哲学などの東洋の古代哲学もあります。西洋の古代哲学を理解するためには、東洋の古代哲学を知ることも大切です。前期の授業では、これらの東洋の古代哲学についても紹介しました。
さらに哲学的な問題や主張を理解するためのプロセスとして、一番大切なプロセスは、哲学を学んでいる学生が自発的にそれぞれテーマに沿ってプレゼンテーションをすることです。先に触れた、古代哲学の学修で得た知識をふまえ、プレゼンテーションを重ねることにより、現代の暮らしに直結した善・悪、物質世界の本性、知識の性質、芸術と理性の本当の意味を知ることこそが、哲学の学びといえるでしょう。

要するに哲学を学問することは、それを学ぶ者が、自分たちの住んでいる世の中の本当の姿や、さらに世間における自らの立ち位置を知ることにつながります。また、自分の存在や生きている世界の真の姿を知ることができる、究極の学問といえます。哲学とは、そうした学びに完全に集中することができる唯一無二の分野といえます。

(J.モリス)

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