人格の尊重

人間関係学科では、コミュニケーション能力を向上させることを重要な教育目的の一つにしています。

うまくコミュニケーションをとれないと感じるとき、あなたならどうしますか? うまくいかないと直ぐに諦めることも一つの方法ですが、そのようにすれば、次にも同じ対応しかとれなくなり、最終的には、コミュニケーションがうまくとれない人となってしまうでしょう。現代社会ではSNS等を用いることによってface to faceでなくともコミュニケーションがとれていると思い込みがちです。しかし、それは、バーチャルな空間での出来事に過ぎません。実社会で生活する上ではどうしてもface to faceでのコミュニケーションが必要不可欠です。

そのためには、コミュニケーションがうまくとれない原因を探り、そこにおける問題点を解決しておかなければなりません。 人間同士が上手にコミュニケーションをとる際、一番の前提となるのが、相手の存在を認めることです。他人を認め、その人を尊重してこそ初めて、中身のあるコミュニケーションがとれることとなるのです。この他人を認め、その人を尊重するということは、言い換えれば「人格の尊重」ということになります。

  • 人格の尊重

人格の尊重は、人権の保障という形で具体的にあらわれてきます。しかし、人権の保障については、 まだまだ問題があります。とくに、現在でも、従来からなおざりにされてきていた女性の人権については問題が山積しています。個人にしろ社会にしろ、そこに存在する問題を解決し、より良い状態へと導くためには、その問題を引き起こしている原因を探らなければなりません。原因がわかれば、自ずからその対応策も考えられるようになるからです。

駒沢女子大学で私が担当する講義科目は、「人権の基礎理論」と「女性の人権」です。この講義では、人間の尊厳、人格の尊重、人権保障の基礎的な考え方や歴史的展開、女性の人権がなおざりにされてきた原因とその対策などについて多面的に考えます。

このように、他人の存在を認め、他人の人格を尊重することにより、レベルの高いコミュニケーション能力がつくことになるでしょう。

(光田督良)

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