「和装文化論」でワンランクアップした女性をめざす

和服を自分の服装の選択肢に加えることができたら素敵だと思いませんか。着物姿はきれいで憧れるけれども、難しくて一人で着ることなど到底できない。歩きにくそう、お腹いっぱい食べることもできなそう、着ているだけで苦しいと聞くから無理、などと諦めていませんか。決してそんなことはありません。美容室の着付けによく見られる、写真映えだけを考えた着付けを他人にしてもらう場合と、自分で着る場合では、着心地がまったく違います。自分で正しく着ることができれば、呼吸や食事や歩くなどの日常動作は難なくできます。『サザエさん』に登場する磯野フネさんが毎日着物で家事をしているように、50年ほど前まで女性の着物姿が日常的に見られました。長い間日本人のだれもが着物で生活していたのですから、難しいはずがありません。

「和装文化論」の前期授業では、「きもの文化検定」5級合格水準を目標に、着物の基礎知識の修得と、一人で着てたたむ技術を身に着けます。平安貴族の十二単の下着だった小袖が現在の着物になるまでの歴史や、友禅(ゆうぜん)や紅型(びんがた)や辻が花(つじがはな)などの染め、大島紬(おおしまつむぎ)や白鷹お召し(しらたかおめし)など全国各地の特徴的な織り、伝統色、柄、紋、TPOに応じた着方、日本人として知っておきたい文化や美意識など、着物は多岐にわたる学修ができるすばらしい教材です。

前期の学修の総仕上げとして、授業の最後に一人できれいに浴衣を着てお披露目する「浴衣ファッションショー」も行います。写真はそのときの記念撮影ですが、今年度の履修者も、この日は普段以上に気合を入れてきれいに着ただけでなく、メークや髪型や持ち物やポーズにも工夫を凝らし、楽しい催しになりました。

授業の感想を聞くと、一人で浴衣を着て帯を結び、たたみ方も修得して片付けることができるようになったことに対する喜びの声が多く挙がりました。また、着物の知識に関しては、新しい知識が獲得できたことや、日本人として知ることができてよかったという感想が見られました。

後期は毎週浴衣を着て、立つ・座る・歩く・お辞儀などの動作を通じて、ふだんの洋装の動きと和装の動きを頭と体を使って比較し、より美しく礼儀正しい動きを考えます。日ごろまったく気にしない姿勢や重心の位置にも気配りができるようになります。着慣れない人が着物を着ると、着た瞬間から指先・爪先までの全身のありようを意識するため、着物は美しくなるために効果絶大です。

平成26年度から人間関係学科の専門科目として「身体文化論」が開講します。その内容は、前期はバレエ、後期は日本舞踊です。宮廷舞踊に始まるバレエも、歌舞伎舞踊に始まる日本舞踊も、どちらも女性が礼儀正しい美しさを身につけるのに最適な学修ができます。礼儀正しい美しさの基本は、洋の東西を問わず共通する部分が多く、授業が日常の立居振舞の洗練に直結します。このように、日常と直結した実践的な授業、それが今年4月にカリキュラムをリニューアルした人間関係学科の特徴でもあります。

  • 浴衣ファッションショーを終えて
    浴衣ファッションショーを終えて

(文責 石田かおり)

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