世界で見つけた驚き ~異文化を楽しもう!~ バングラデシュ編  その2

国際文化学科 杉野 知恵

まず初めに、今回の話で主題となるバングラデシュとインドの位置関係を確認しておきましょう。海に面した南方とミャンマーと接する南東の一部を除き、バングラデシュは三方をインドに囲まれています。

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国境を越えたら神様から生贄へ

さて、バングラデシュ人の多くはイスラム教徒です。イスラム教徒にとっての「盆と正月」のような祝日の1つに「犠牲祭」があります。アッラー(神)に牛や羊を生贄として捧げ、アッラーへの感謝を示す大切な行事です。犠牲祭の直前は買い出しなどの準備で日本の大みそかのようなあわただしさです。ちなみにイスラム教の行事は月の満ち欠けを基準とした太陰暦に基づくため、私たちが使用している太陽暦に当てはめると、犠牲祭の日程は毎年約10日ずつ前倒しになっていきます。今年は9月下旬の予定です。

  • 犠牲祭直前の牛たち
    犠牲祭直前の牛たち
  • 牛を屠る準備
    牛を屠る準備

バングラデシュの犠牲祭では多くの牛が捧げられ、犠牲祭が近くなると町中で牛を見かけるようになります。この急増する牛たち、一体どこから来るのか、牧場でもあるのかと聞いてみたところ、なんと「インドから」というではありませんか!バングラデシュのお隣のインドでは、ヒンズー教徒が多く、ヒンズー教では牛を聖なる動物として大切にします。

ところが、犠牲祭の季節になると、インドの聖なる牛の一部が国境を越えてバングラデシュに運ばれ、神に捧げられるというのですから驚きです。

そして犠牲祭の日には、イスラム教の手順にそって牛は屠(ほふ)られ、余すところなく、家族のほか貧しい人々にも振る舞われます。目の前で屠られる牛を見たときは衝撃的でしたが、方法は違っても命の大切さを学び、神への感謝を示すという点で、私たちの「いただきます」の精神と共通するものを感じました。

バングラデシュの食事

バングラデシュの食事は、カレー味が基本です。カレーといっても日本のカレーライスと違って、バラエティ豊かに調理されます。バングラデシュのカレー味は、私たちの感覚でいえばお醤油に近く、野菜炒め、春巻き、パコラという天ぷらのような揚げ物にもカレー味を効かせます。

バングラデシュの人々は、日本のようにお米をよく食べます。粘り気のある日本米と異なり、バングラデシュのお米は粒がパラパラの長粒種です。これがカレー味のおかずにとても良く合うので、私は一日三食カレー味でも飽きることがありませんでした。

また、スプーンを使わず、右手(左手は不浄の手なので使わない)でお米とおかずを混ぜ合わせて手から直接食べることも、初めてバングラデシュで体験しました。食べ物の感触や温度を手で感じながら食べると、食べ物が一層ありがたく思えてくるから不思議です。

  • ビリヤニ(お肉とスパイスの炊き込みご飯)もおいしい
    ビリヤニ(お肉とスパイスの
    炊き込みご飯)もおいしい

バングラデシュ編の最後となる次回は、女性のおしゃれについてです。お楽しみに!

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