藤栄友里絵さん(2023年度卒)からのメッセージ(第2弾)
2025/05/13
企画展「壬生のサムライと日光ブランド」を担当しました
2023年度に卒業され、現在、栃木県の壬生町立歴史民俗資料館で学芸員として活躍されている藤栄友里絵さんは、同館で2024年11月9日から12月22日にかけて、企画展「壬生のサムライと日光ブランド―「聖地日光」をアートプロデュースした男―」を担当されました。企画展の開催報告と図録をいただいたことをきっかけに、藤栄さんに企画展に関するインタビューを行いました。今回は藤栄さんからいただいた回答を、メッセージの第2弾として紹介します。
〈質問〉今回の企画展のみどころを教えていただけますか。
〈藤栄さん〉この展示では、旧壬生藩士の守田兵蔵に着目しました。守田は、栃木県を代表する伝統工芸の「日光堆朱」などを地域ブランドとして売り出すために奔走した人物です。守田は日光にて「日光堆朱」などの展示即売、さらに若手作家・職人の育成にも努めた人物であり、明治の日本において「日光堆朱」を世界に向けて発信しましたが、そこには地元を盛り上げるねらいがあったのではないかと考えています。
〈質問〉今回の企画展ではどのような苦労がありましたか。
〈藤栄さん〉今回は先輩の学芸員に指導を受けながら、企画展の準備を行うことができました。企画展の準備では、苦労したことが大変多くありました。図録・キャプションの原稿作成、使用する写真の選定、ポスター・チラシ・図録やディスプレイ展示、資料借用関係の委託事務、その他展示に関するイベントの準備など、数多くの業務をこなさなければなりませんでした。今回は、初めての展示でもあったため、先輩の学芸員にサポートをしていただきましたが、今後はすべて一人で行わなければならないと思います。企画展を開催するまでの準備は、多岐にわたる業務があると改めて実感しました。
また企画展が開催されると、来館者の中には展示内容に詳しい方も多く、そうした方々に説明する機会もありましたが、事前に細かい点まで調べることがとても重要であることを実感しました。特に、今回の企画展は「日光堆朱」などの美術工芸品に関する展示であり、これは学生時代には詳しく触れてこなかった分野であったため、本当に一から勉強の日々でした。しかし、新しい分野を開拓することは、自分のスキルアップにもつながり、来館者にうまく説明ができたときには、本当に学芸員になってよかったと思いました。
藤栄さんからのメッセージは、学芸員という職業がさまざまな業務を行い、展示する資料については、細かな点まで調査し、新しい分野であっても、あきらめずに納得がゆくまで明らかにしていく姿勢が大切であることを教えてくれています。
藤栄さん、どうもありがとうございました。