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【第4回】 末木俊之教授


研究室訪問シリーズ第4回は末木俊之教授を訪問しました。


末木俊之先生

ひとこと
末木先生はコンピュータシステムの専門家で本学では健康栄養学科及び人文学部の情報処理教育も担当されています。コンピュータによる情報処理は工学、理学、医学の自然科学分野のみならず、最近は社会学、経済学、人類学などの人文科学系においても必要不可欠な手法です。わかりにくいと敬遠されがちなシミュレーションソフトの基本についてお話しいただきました。 (文責 川野誠子)



 私は、以前は主に工場内のコンピュータシステムに携わる仕事をしていました。1995年に駒澤学園に移ってからはワープロ、エクセル、パワーポイントなどのビジネス現場で使われる一般的なソフトの演習指導を中心とした情報処理教育を担当しています。

「情報処理概論」という講義科目もここ数年受け持っています。最近はその授業で教員や学生自らが動かして使え、理解を助ける補助として使えるシミュレーションを作っています。

 コンピュータというと情報が電気的に処理されること、デジタルとアナログなどについて話すことから始まるのですが、なかなか分かりやすく伝えるのは難しい話です。教科書の図でさらっと説明し、何となく分かった感じになってもらう程度で終わりがちではないでしょうか?電子回路も実際何か動かせて体験できるものがないと理解が深まりませんし、2進数、インターネットのネットワークアドレスの数値表現なども意外と分かりにくいものです。

 シミュレーションを作るのはなかなか大変です。しかし、数年前に東京大学社会学教室の先生方が中心になりartisocという便利なマルチエージェントシミュレーションソフトが開発されました。主に社会学、経済学、人類学などの人文科学系の先生方が使用しているソフトです。私も使ってみたところ非常に簡単にシミュレーションを作ることができました。

 ネットワークでつながったものを表現したり動かしたりするのも簡単です。インターネットの説明に使えるようなシミュレーションも簡単に作れます。私はネットワークでつながったもの(人のつながり)などにも多少興味がありますので、artisocシミュレーションを自分で作成しつつ学んだりもしています。

 以下、「情報処理概論」の講義で実際使用している自作のシミュレーションをいくつか掲載します。

↓図をクリックすると拡大表示されます。

(1) AND回路
コントロールパネルのT1、T2ボタンで入力信号(電気のON/OFF)を切り替えてAND回路の動作を確認できます。電池、電磁石を使用した単純な仕組みで作るAND回路の1例です。画像が切り替わるだけの単純なシミュレーションです。
(2) 8ビット加算回路
8桁の2進数2つを足し算するシミュレーションです。これもコントロールパネルの16個のボタンをON/OFFしていろいろな足し算を実行させることができます。右に筆算風に2進数、10進数の2種類で表示する機能も加えました。

↓図をクリックすると拡大表示されます。

(3)8ビットメモリ回路
図3aは、8ビットの情報を電気的に記憶するシミュレーションです。
最初の図はset信号をONにして、左側から入力信号が入ってきた時の様子です。
図3bは、set信号をOFFにして入力信号を消した後、右の出力側にしっかり以前の情報が保持されている(メモリーされている)様子です。

↓図をクリックすると拡大表示されます。

(4)水槽の水位を32段階に測定(5ビットで測定)した水位変化を、電線1本の電気的変化として表すシミュレーション(パターン1)
コンピュータの電子回路内ではあり得ない!
(5)水槽の水位を32段階に測定(5ビットで測定)した水位変化を、電線1本の電気的変化として表すシミュレーション(パターン2)
コンピュータの電子回路内であり得るパターン

↓図をクリックすると拡大表示されます。

(6)インターネットIPアドレス説明時に使用するシミュレーション
32個のボタンをON/OFFした結果を4種類の数値表現で表示するもの。
(7)「インターネットでパケットが最短経路で相手に届けられることについて」の説明時に使用するシミュレーション
図8ではRT6ノードを起点とした他の各点への最短経路が赤矢印で表示されています。

 

ここから以下に示すシミュレーションは「情報処理概論」の講義では使用していないものです。ネットワークに関係する現象についての学習も兼ねていろいろ作っているものです。

↓図をクリックすると拡大表示されます。

(8)500個ほどのノード(点)がつながったネットワークを円内に配置して表示するシミュレーション
重要度の高い点ほど円の中心に表示されるようにし、さらに同じコミュニティー(集団)に属する点を近くにまとめてすっきりとした表示を行うものです。
(9)ネットワークでつながった各点のつながりの数(次数)を数えて表示するシミュレーション
この数値が高い点(ノード)は重要な点(ノード)だと判断できます。

 

(10)ネットワークでつながった各点の媒介中心性を計算して表示するシミュレーション
この数値が高い点も(9)の次数とはまた別の意味で重要な点(ノード)だと判断できます。

今後も、これらのようなネットワーク(コンピュータのネットワーク、人と人のつながりのネットワークなど)の現象を説明・学べるシミュレーションを作成する予定です。

2011年6月16日