生徒にとって「大切なもの」とは[英語科 伊澤]

A子さんを前に、私は話しをしていました。「今、△△という問題があり、解決するためには○○したら?」と1時間近くも語りかけていました。A子さんは黙ってうなずいていたので、てっきり彼女は私の話を理解して、提案した解決策にむけて行動をしてくれるものと思っていました。ところが、翌日になってみると、私の予測を超える事態が発生しました。私がA子さんに話した事は無意味だったか、または逆効果だったのか、と思い悩みました。私が自分の指導法を見直すきっかけになった出来事です。

その後、私はコーチングを学びました。コーチングでは、相手が何か問題を抱えている場合、問題そのものよりも、相手がその問題をどのように捉え、どう感じているのかに焦点をあてます。そして相手自身がどのように問題を解決したいと思っているのか、をたずねていきます。問題が相手のものであるかぎり、解決できるのは相手だからです。 「答えは相手の中にある」のです。

コーチングでは、問題解決だけではなく、「望ましい未来を実現する、希望の言語化」もします。希望が明確に言語化されると、行動に移すことができるようになるからです。不思議なもので、自分の頭の中では漠然とした「夢」にすぎなかったものが、人に話を聴いてもらうと、雲のような形状からはっきりと形になり、実現可能なプランへと変わっていきます。私はコーチングを受けてから、長年の夢であった本の出版を、キンドルにて実現することができました。

日々の学校現場では、常にコーチングのマインドセットで生徒にあい対することは現実的でないかもしれません。良い対話をするには良い環境が必要だからです。ですが、多忙な教育現場にあっても、目の前の生徒にとって「大切なもの」は何なのか。なぜ大切なのかについて、意識を向けていきたいと思っています。

英語科 伊澤

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