数学の授業で語りつくせなかったシリーズ3 ~積分の技 King Property~[数学科 山口]
2022/06/01
コロナ禍になって丸2年以上が過ぎ、最近は小生もごろごろとYouTubeを見るようになりました。最初はくだらない動画ばかりだなと侮っていたのですが、中には教育系のコンテンツもあり、とてもためになるものもあると考えるようになりました。
そんな教育系YouTuberのお一人の、ヨビノリのたくみさん(YouTubeチャンネル/予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」)が紹介していたKing Propertyは目を見張る内容だったので、ここでも紹介したいと思います。
では次の定積分を考えてみましょう。
(この定積分、小生が若かりし高校生のとき、某Yゼミナールの、合格したら授業料が安くなるという試験に出たのを覚えています。あのときは焦ってできなかったな。残念。)
さて、これは置換積分で解きます。入試では大抵そのように誘導がつきます。
とすると、
積分区間は なので、
与式は
=
となり、積分の値としては元の式と等しくなるので
(与式)=Ⅰとすると
となり、結局
と求まりました。美しい!
ポイントは、2つです。1つ目は次のKing Propertyを使って元の定積分を値を等しく保ったままちょっとだけ姿かたちを変えることです。
[King Property]
ポイント2つ目は、ちょっとだけ姿かたちが変わった式と元の式を加えると、被積分関数がとーってもシンプルになる、という点です。
文章で読んでも何のことだか分からないと思いますが、手を動かしてみるときっと感動することでしょう。これは日本の教科書にはどこにも出てきませんし、テクニックとして習うことも稀でしょう。そのうえカッコいい名前が冠されているので、使いたくなること請け合いです。(高校生の時の私に教えてあげたい。)
この積分は、三角関数、指数・対数関数と相性がよいです。これらの定積分でやたら難しいものが出題されたら、このテクニックを疑ってください。
例えばこんな問題です。宿題に解いてみてください♪
(宿題)次の定積分を求めよ。
数学科 山口