数学の授業で語りつくせなかったシリーズ2 ~有理化の意味~[数学科 山口]

2次方程式の解の公式を教えるときに、3次、4次方程式は解の公式があるけれど、5次方程式は解の公式は存在しないんだよ、とちょくちょく話してきましたが、その証明(ガロア理論)はしっかりと学んでいなかったので、簡単そうな本を選んで勉強しました。
その中で、高校生でも知っといてよい内容があったので紹介したいと思います。それは分母の有理化です。
中3で無理数を習って以来、分数の下に無理数が残ったまま答えてはいけなくって有理化をしなさい、と教わります。その理由を、いろいろ苦し紛れの説明をうけるのですが、結論は次の通りです。

  • ガロア(1811−1832)
    ガロア(1811−1832)

「無理数で割り算をすると実数になる。とくに、 で割り算した結果は を用いて表せる。」ということです。無理数で割り算をしても、何か新しい数になることはないというのです。
何を言っているかというと

のように、 での割り算の結果は を使って表せるのです。何を簡単なことを! とおもっているあなた、では

はどんな数になるでしょうか。因みに は3乗して2になる数です。これを有理化するにはどうしたらよいでしょうか。
2つ方法がありますが、高校生でも確実にできる方法が、ユークリッドの互除法を整式に応用する方法です。

としましょう。 を根に(=0にしたときの解)にもつ最小次数の多項式で、 を代入すると になる多項式です。これらをユークリッドの互除法を用いて変形すると、

となります。ここで、 ですので、

となり、

と有理化できたことになります。上で述べた通り、分母にある無理数を用いて表すことができました。
ところが、有理化すると分母にない無理数が現れる場合もあります。

を同じ手順で有理化してみます。
を根にもつ最小次数の多項式として でユークリッドの互除法を用いると、

ここで、 ですので、頑張って の係数の式に代入すると

が得られます。
これらの結果を総括して有理化について語るには「体(field)」の考え方が必要になります。またこの考え方がわかれば、これらの有理化も係数比較をするだけで簡単に求めることができます。

話は、元にもどりガロアの理論はこの「体」を使って説明されます。その中には対称式の話などもでてきます。教科書や大学入試で対称式が執拗なまでに解かされるのはこういった背景があるからでしょう。
ぜひこの有理化の話に1ミリでも興味を持ってもらって、ガロアの理論と5次方程式の解の公式に興味を持っていただけたら嬉しいです。

参考図書
木村俊一 著『数学のかんどころ14 ガロア理論』共立出版

数学科 山口 貴史

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