やってみよう

多趣味な私ですが、その中の1つに料理があります。3年ほど前から教室にも通っています。習わずとも「何となく」できてしまう料理。私は食べることも好きなので、通学のきっかけは、せっかく自炊をするならばもっと美味しいものを作れるようになりたい、という軽い気持ちからでした。

突然ですが、皆さんは自分でスポンジケーキを焼いたことがありますか?黄金色で、ふわふわと口の中で甘くほぐれていく、あのスポンジケーキです。材料はとてもシンプルで、薄力粉・卵・砂糖・牛乳・バターのみ。作り方だって、おおまかに言えば全部混ぜて焼くだけ。とても簡単そうですよね。でも、「何となく」混ぜて型に流しオーブンに入れると、現れるのはスポンジケーキとは程遠い、情けなく潰れたクッキー状の物体。
なぜ、「何となく」では成功しないのでしょう?それは、スポンジケーキが膨らむ仕組みを理解していないからです。
スポンジケーキの材料の中で必須となるのが、薄力粉・卵・砂糖です。生地作りでは、卵に砂糖を加えることにより卵が泡立ちやすくなって、壊れにくい気泡がたくさんできます。薄力粉を加えて気泡を潰さないように混ぜれば、薄力粉が気泡の周りを覆って網目状になります。また、薄力粉は水分を吸うとグルテンを発生させるので、粘り気が出ます。これをよく予熱したオーブンで焼くことにより、生地全体が薄い膜に覆われた後、内部で気泡の熱膨張が進んでいきます。生地は粘り気があってよく伸びる状態になっているので、全体的に大きく膨らみます。やがて薄力粉のでんぷんが糊化して固まり、膨らんだ生地を支える骨組みが完成します。そこから余分な水分が蒸発し、お馴染みのスポンジケーキが完成するというわけです。
これはあくまでもひとつの例に過ぎません。料理にはこのように科学原理や法則を利用している場合がほとんどです。以前、渡邉先生も「こまつぶ」で書かれていたように、料理は科学と言っても過言ではありません。キッチンは実験室で、調理者は科学者なのです(流石にこれは言い過ぎか……)。

科学などとさも偉そうに語っていますが、実は私は国語科の教員。理数系教科はからっきし、の学生時代を過ごしました。科学なんてどうせ難しいから理解できない、と学生時代は見向きもしませんでしたが、今は違います。料理という新しい切り口で科学に接したことによって、調理の際には科学の原理や法則を意識するようになりました。これらを意識し始めてから、レシピを見なくても料理がある程度上手に仕上がるようになってきたかな、と思います。
この経験から私は、こうしてみたい! という気持ちを大切にして動いてみることの可能性を感じました。軽い気持ちで始めたことが、まさか自分の苦手を克服する新しい切り口になるとは予想だにしなかったことです。何事においても、興味を持ったらまずやってみることを強くおすすめします。
と、今晩の献立を考えながら書き綴るのでした。

  • 自作のモンブランショートケーキ
    自作のモンブランショートケーキ

国語科 宇佐美 りか

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