ピスタチオ[国語科 穂谷野]

ピスタチオにハマり、お店でピスタチオのお菓子をみつけるとつい買ってしまう。チョコレートやアイスクリームに濃厚なナッツの香りが加わって美味しい。しかもあのぼんやりとしたみどり色にも癒される。

教育実習を数日後に控えた学生の時、教授に授業計画の相談にのってもらった。教授が題材にする小説を読んでいる間、教授の本棚をぐる〜と見回す。読んだことのある本もあれば、作者の名前すら聞いたことのない本も並んでいた。まだ読み終わらないようなので、もう一度ぐる〜っと。ぐる〜ぐる〜。
随分ゆっくり読んでいるなあと思って教授を見ると、ものすごくやさしい、あたたかい笑顔で読んでいて、一瞬にしてあっ小説が好きだ!と思わされた。何を言ったわけでもない。読む表情と雰囲気だけで教授が小説を好きなのはもちろん、実習準備で半ば嫌気がさしていた教材研究の疲れもふっとばされ、本来の読書好きのわたしのこころが目を覚ました。わたしも国語が好きだったじゃないか……

好きという気持ちはこんなにも伝染するのかあと恐ろしいほどに実感した。しかし、この境地には好きを煮詰めて煮詰めて煮詰めないとたどりつけないだろう。わたしはその後国語教師となったが、わたしを見る生徒があの日のわたしのように感じる日はくるのだろうか。
今はまだ、純粋にこころの底から好きだと思えるのは手に取ったピスタチオのチョコレートぐらいだ。

国語科 穂谷野 倫子

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