グリセミックインデックス(GI)とグリセミックロード(GL)

西山一朗

わが国では近年、糖尿病有病者や糖尿病予備群と呼ばれる人の数が増えており、平成28年度の国民健康・栄養調査の結果によれば、「糖尿病が強く疑われる者」が約1,000万人、「糖尿病の可能性が否定できない者」も約1,000万人と推計されています。このような背景によって、種々の食品が血糖値にどのような影響を与えるかが関心を集め、グリセミックインデックス(Glycemic Index GI)という指標が注目されています。

グリセミックインデックスをごく簡単に説明すると、炭水化物50gを含む食品を摂取したときの、血糖値上昇の度合いを示した数値と言えます。たとえば、じゃがいも(ゆで)のGI値が88、にんじん(ゆで)のGI値が47であったとすると、じゃがいもに含まれる炭水化物の方がにんじんに含まれる炭水化物よりも血糖値上昇への影響が大きいと考えられます。すなわち、同じ量の炭水化物を摂取しても食品の種類が異なると、炭水化物の組成の違いや共存する成分の影響などのため、血糖値上昇の度合いが異なり、それをGIという指標で表していることになります。

GI値が55以下の食品は低GI食品、70以上の食品は高GI食品に分類され、その中間のGI値を示す食品は中GI食品とされています。高GI食品に比べて低GI食品は、食後の血糖値の上昇が穏やかでインスリンの分泌が抑制されるため、脂肪の合成も抑制されると考えられます。そのため、食生活に低GI食品を取り入れることによって、肥満や2型糖尿病の発症リスクを低減できる可能性があると考えられています。

いくつかの食品のGI値を表1に示します。私が研究対象としているキウイフルーツのGI値は47とされています。そのため、上記の定義によれば、キウイフルーツは血糖値上昇の度合いが小さい低GI食品ということになります。しかしこの47という値は、パン(52)や米飯(48)、スパゲティ(48)、マカロニ(45)など、炭水化物を豊富に含む食品のGI値と大差がなく、なんとなく違和感を覚えます。また、ミルクチョコレート(43)やチョコレートケーキ(38)よりも高い値となっており、直感的にはおかしいようにも思えます。普通の感覚では、キウイフルーツよりもチョコレートケーキの方が、食べた後の血糖値上昇が大きくなるような気がしますし、また、実際に通常はそうなります。


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これはGIという指標が、「一定質量の炭水化物を摂取したとき」という前提で定義されているため生じる違和感です。つまり、GIは主に炭水化物の質の違いに基づく数値であって、炭水化物の量を反映した数値ではないためです。さきほどのキウイフルーツとチョコレートケーキの例では、前者よりも後者の方がはるかに高い割合の炭水化物を含みます。そのため、「炭水化物50gを含む量を食べる」というGIの考え方では、107gのチョコレートケーキと500gのキウイフルーツを食べた時の血糖値の上昇度合いを比較することになります。私たち(栄養士や管理栄養士の方々は別として)が普段食事をするときには、「この食品の中に何gの炭水化物が入っている」などと考えることは、まずありません。そのため、GI値を普段の食生活に取り入れることは、なかなか難しいと思います。

そこで、この炭水化物の質的な差異を反映したGI値に、炭水化物の量的なファクターを加味することにより、もっと実感しやすい値が考案されています。それがグリセミックロード(Glycemic Load, GL)です。GLは表2に示したように、GI値にその食品の標準摂取量(サービング)当たりに含まれる炭水化物のグラム数を掛け、100で割ることによって求めた値です。これによって、ある食品を一食分食べた時に、どの程度血糖値が上昇するかを認識することができ、普段の食生活にも役立てやすくなります。


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先ほど違和感のあったキウイフルーツのGL値は6と算出され、一食分を食べた場合には、スパゲティ(23)、マカロニ(22)、チョコレートケーキ(20)、米飯(18)などよりもはるかに血糖値への影響が小さいことがわかります。食品が血糖値上昇に及ぼす影響を示すGIとGLは、目的に応じて使い分ける必要がありますが、これらの概念を上手に利用して、より良い食生活を目指してみてはいかがでしょうか。

なお、表1および2の値の引用元であるAmerican Journal of Clinical Nutritionは、現在、第105巻(2017年)以前の掲載論文はオープンアクセスになっています。ご興味のある方は、そのホームページから全文が自由に閲覧できますので、各種食品のGI値、GL値をご確認ください。

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