あこがれの人[国語科 渡部]

高校3年ライフデザイン最後の授業では、生徒一人ひとりが自分の「あこがれの人」について発表をしました。
リトアニアでユダヤ人にビザを発行した杉原千畝さん、ゲームクリエーターの田尻智さん、タレントの渡辺直美さんなどを挙げ、「困っている人を助ける勇気」「諦めずに行動し続ける力」「ありのままの自分で生きることの大切さ」を、あこがれる理由として語っていました。
その他にも、スポーツ選手や芸能人、YouTuberなど私の知らない多岐にわたる分野の人々へのあこがれの気持ちを語る生徒たちの発表を聞きながら、ある言葉が心に浮かんできました。

「桃李不言下成蹊」(桃李もの言はざれども、下おのずからみちを成す)

桃や李は何も言わないけれど、美しい花を求めて人々が集い、樹の下には自然と小道ができる。桃李は人格者をたとえた言葉で「人格者は黙っていても自然と人々が教えを請いに集まってくる」という意味です。

本来、このような人物を「師」と呼ぶのではないでしょうか。
「素敵だな」「自分もそうありたいな」と思える人がそばにいることは、幸福なことです。
「あこがれの人」とは何も偉業を成し遂げた大人物であるばかりではありません。
そばにいて気持ちが明るくなったり、勇気や希望をくれたりする、そんな人を桃李と呼ぶことができるのではないでしょうか。

この春、三年間ともに学んだ生徒たちが卒業していきます。
果たして自分が彼らにとっての桃李であれたのかと振り返ると、残念ながら胸を張って「はい」とは言えません。しかし、この学年には、桃や李のつぼみのような生徒がたくさんいます。三年間を通して、彼らからたくさんのことを学び、助けられ、成長させてもらいました。
みんなが卒業していくことは寂しい。けれど、新しい世界でさらに成長し、大きく花開いていくであろう姿が楽しみでもあります。
私も彼らに負けないくらい素敵な桃の花を咲かせるために頑張ります。
嬉しいとき、落ち込んだとき、何でもないとき、卒業後も折に触れて遊びに来てくれたらうれしいです。

国語科 渡部

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