時間とは何か?[数学科 五十嵐]

「時間とは何か?」
 といざ問われると、なかなか一概には説明しきれません。

日本人では、曹洞宗の開祖で、鎌倉時代に活躍した禅僧、道元が「正法眼蔵」で「有時」という巻で述べています。

①道元禅師の時間論

時間とは存在である……
道元の「有時(あるとき)」とは、「有(空間・存在)」と「時(時間)」は常にひとつで、私たちの人生は、常に「今・ここだけ」にあること。静止している松などの植物も人と同じように、時間と空間を構成しているものだ、と考えたのです。

②イギリスの科学者アイザック・ニュートンの時間論

彼が1687年に発刊した「自然哲学の数学的諸原理」という本で導入した概念は、「宇宙のどこに置かれていても、すべての時計は、無限の過去から無限の未来まで変化せずに同じペースで同じ時間を刻む」、そして「空間はどこも均質で、無限に広がっている」というものでした。この「絶対時間」と「絶対空間」をもとに打ち立てたのが、いわゆる「ニュートン力学」で、その後の科学者に大きな影響を与えました。

➂アインシュタインの「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」

アインシュタインは、1905年に発表した特殊相対性理論で、「時間の進み方は、観測者同士のすれ違う速度(相対速度)が小さいうちは眼に見えた時間の差とはならないが、相対速度が亜速度(光速に近い速度)になってくると、眼に見えた時間の差が現れてくるので、どんな時でも一定ではなく、観測者によって異なる」と主張したのです。

「ウラシマ効果」という言葉がありますが、宇宙船に乗って光速に近い速度で宇宙旅行をして数年後に地球に戻ると、亜光速の宇宙旅行中は時間の進みが遅れるので、そこは遥か未来の地球だったという話です。もしかするとカメが宇宙船で、竜宮城は他の星だったのかもしれません?
さらに、これに重力の影響や加速・減速を加味した重力理論が「一般相対性理論」です。
簡単に言えば、重力も時間を遅らせる原因となるという訳です。重力は地球の中心から離れるほど弱くなるので、エベレスト山頂にある時計に比べて、地上にある時計はごくわずかですが、ゆっくり進むというものです。また、重力は、時間を遅らせると同時に、空間(光)を曲げる原因になり、重力が大きければ大きい程、曲がり具合も大きくなり、一定以上重力が大きくなると、光さえも吸い込まれる空間の歪み、いわゆる「ブラックホール」ができます。
もしかすると時間を自由に操作できれば、過去や未来に行けるタイムマシンができるかもしれませんね。

【ウラシマ効果】光のスピードのロケットに5年間乗ったら、12歳は17歳ですが、地球上では12歳は、62歳になるということです。

数学科 五十嵐

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