1mの長さの基準は?[数学科 五十嵐]

長さを表す1メートルですが、これが1メートルとする根拠は意外とわかりませんね。
長さの単位の歴史を簡単に説明すると、最初は人体が基準になりました。たとえば日本の単位である1寸(いっすん)は、親指の幅の長さに由来し、約3.03センチメートルです。「1寸法師」は約3㎝になります。
しかしこれでは人や地域によってはまちまちになり国際的な統一が必要になりました。
次に、地球を基準にする考えを1791年フランスが提唱しました。地球の北極から赤道までの子午線の距離で、それの1千万分の1を1メートルとしました。しかし、どうやってこの子午線の距離を測るかが難しいため、19世紀になって酸化や摩滅の少ない白金イリジウム合金を用いたメートル原器がフランスで作成されました。

  • メートル原器①
    メートル原器①
  • メートル原器②
    メートル原器②

しかしこれも、製作時の誤差や経年劣化の問題がありました。そして、現在の基準は1960年、光の速さと時間をもとに1メートルが決められました。「1秒の299,792,458分の1の時間に光が真空中を伝わる距離」が1メートルの定義になっています。ここでなぜ光なのかというと、光の速さは、アインシュタインの相対性理論では「光速度不変」の原理があります。これはどんな場合でも光の速さは変わらないということです。基準を不変な光の速度で定義したのです。これにより世界中で共通の1メートルが存在することになりました。1mから面積の1㎡や体積の1㎥も世界中で共通の単位となりました。
いろいろな単位がありますがそれぞれに歴史があります。それを調べるのも面白いかもしれません。キログラム原器については次回にまいります。

  • キログラム原器
    キログラム原器

写真:国立科学博物館にあるメートル原器です。隣にキログラム原器があります。
撮影:五十嵐  場所:国立科学博物館 地球館地下3F

数学科 五十嵐

新着情報:新着投稿一覧へ