スイッチ[数学科]

今年の正月くらいにスイッチを買った。我が家では3代目のスイッチである。何故3台目のスイッチを購入したのか?それは家庭内でのスイッチ使用率が高く、やりたいときにゲームができないもどかしさを解消するためである。自分のために購入した自分専用のマイスイッチだ。歴代の2台の液晶モデルとは違う。色を持つ素子そのものが発光することで色を表現し、黒をより黒く表現できる有機ELモデル。

ジョイコンは大人の雰囲気漂うホワイトカラーをチョイスした。が、この選択が間違いであると気付くのにそう長くはかからなかった。白と黒のモノトーンカラーで統一されたスイッチは見た目も上質であり、部屋のインテリアとしての佇まいも気品に溢れていた。しかし使用回数が増えるごとに白かったジョイコンが徐々に黒ずんでいったのである。原因はジョイコンの黒いスティックが操作時の摩耗で削れ、これが皮脂と混ざり合いジョイコン表面に刷り込まれていくのだ。時間の流れとともに美しさは醜さへと変化していった。白は汚れが目立つのである。

私は純白のYシャツを着用するのは冠婚葬祭や式典を除くとそれほど多くはない。私にはふたを閉め忘れたサインペンや芯を出したままのボールペンを胸のポケットに入れてしまうというちょっと困った習性がある。白いYシャツの使用頻度が少ないのは、おニューのシャツにインクが付着してしまうというミステイクを何度も何度も繰り返し、何枚も何枚もダメにしてしまった結果である。そして私は一つの結論に到達した。「濃い色のシャツならインクの汚れは目立たない!」実際に試してみると、赤や青、黒のインクも目立たない!ナイスなアイディアだ!これ以降買ったばかりのシャツをダメにすることがなくなった。安心してカレーうどんを食べることもできるようにもなった。しかし、その安心と引き換えに大切な何かを失くしてしまったような気もする。

何色にも染まっていない白は何にでも似合う色である。白で統一された部屋のインテリアは清潔感や空間の広がりを感じられるし、ホワイトボディに白いアルミホイールの車はスポーティで速そうに見える。白はきれいな色であるが、いつ何時でもきれいにしていなければならないという使命を常に背負うことになる。

そんな苦労があることをわかったうえで白を選ぶということはある意味大人の選択と言えるのではないだろうか?まめに掃除をしなければならない白いスイッチのメンテナンスは少し面倒に感じるが、それを乗り越えた先に大人の階段が現れるのではないだろうか?ならば、白いスイッチを購入した自分は大人への扉を今開けたところだ。いつか自分も白が似合う大人になれる日が来ると信じよう。そして、これからもこの手のかかる相棒とともに成長していけることに感謝する気持ちを忘れないように肝に銘じたい。
あの日の自分がポチっと押したのは大人スイッチに違いない。間違いない。

数学科 蓑島

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