アフガニスタン報道から[社会科 永井]

アフガニスタンのガリ政権が崩壊して、タリバンが全土を掌握したというニュースが、8月半ばに飛び込んできた。
アフガニスタンという国を意識したのは、19歳の時。国際政治に詳しい先生が、教場に入って来るや否や、「アフガニスタンのアミン大統領が暗殺された。ソ連が侵攻したら、米ソの対立が激化する。……」と叫んでいたのをはっきり覚えている。頭の中は、「アフガニスタン?アフリカにある国?」などなど。あれから40年以上の時が流れた。

駒沢学園に奉職してからも、アフガニスタンの報道はなぜか目に入り、授業でも何回か教材に利用してきた。今回はどうしよう。
ニュースで流された映像に、カブール空港の有刺鉄線の張られた塀を挟んで、産着にくるまれた赤ちゃんが、親(?)らしき人から米兵に手渡され、米兵に抱きかかえられながら姿を消していく光景は、悲しい。赤ちゃんを手渡した親は、塀の外に残されたように見えた。「せめて子供だけは、生きてほしい。」という親心であろうか。この親子が再び巡り合える日が来ますようにと祈る。
授業の教材で、『エリカ 奇跡のいのち』という絵本を扱ったことがある。ナチスドイツ支配下で、強制収容所へと向かう貨車に乗せられた母親が、「たとえ生きられる確率は1万分の1であっても、ゼロではない道をわが子のために選んだ」と決意し、貨車の小窓から赤ん坊を放り投げる。運よく草地に落ちた赤ちゃんは、拾われ、育てられ成長する。
時代も、地域も、宗教も違うが、親の子どもに対する思いは同じなのだ。
平和な日本にいると、アフガニスタンの状況は想像しにくいところもある。しかし、親が子を思う気持ちに違いはない。我々に何ができるのだろうか。
10年前の東日本大震災では、日本中が大きな悲しみに包まれた。亡くなった方の中には、自分のことは顧みず、他者を助けようとして犠牲になった方も多い。曹洞宗の開祖道元は、『正法眼蔵』の中で「自未得度先度他(じみとくどせんどた)」という言葉を残している。「己れ未だ度(わた)らざる前に一切衆生を度(わた)さん」という精神を、社会で実践することができれば世の中は幸せになるのだろう。自分だけが幸せになれればいいと考える人は、本当の幸せを手に入れられない。自分が幸せを感じられるのは、周りも幸せだからなのだという。日本が平和でありたいと思うならば、アフガニスタンと同じ状況にある多くの国々が平和にならなければならない。そのために、日本はどのように行動すべきなのだろうか。そして、自分は……。
生徒の皆さんも日常生活の中で、「自未得度先度他」の精神を踏まえた行動をとってもらいたい。
19歳で初めて知ったアフガニスタンを、40年以上意識することになるとは、不思議な縁だと思う。自分の人生の節目、節目でアフガニスタンに関する報道を目にすることになった。報道を見ても何もできない自分ではあるが、思い浮かんだことをつらつら書いてみた。

社会科 永井 俊道

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