蘇鉄[国語科 新村]

「蘇鉄」という植物があります。沖縄に行ったことがある人は見たことがあるかもしれません。この「蘇鉄」、実は食べられるって知っていますか?
先日、テレビ番組で上白石萌歌さんという女優さんが奄美大島を訪ねるという番組がありました。そこの食堂で珍しい食べ物として出されていたのが「蘇鉄」です。
私は東京で育ちましたが、蘇鉄を食べたことがあります。奄美大島出身の祖母が食べていたのです。薄い灰色でどろっとしていて、おかゆのような感じです。何の味もしないし、匂いもありません。ただ、お腹はいっぱいになります。
蘇鉄には毒があり、食べられるようにするには大変な手間がかかるそうです。それなのに、奄美では、なぜ蘇鉄を食べたのでしょうか。それには悲しい歴史があります。江戸時代、奄美大島ではサトウキビを栽培し、黒砂糖を精製して税として薩摩藩に収めていました。あまりにも重労働で、自分たちの食べるものを作ることができないために、たくさんの蘇鉄を植え、それを食べるしかなかったのです。
それが、今では郷土料理になっています。祖母は島暮らしを懐かしんで、わざわざ取り寄せて時々食べていました。食べながら、奄美の話をして、「南では、蘇鉄のように生えてるものを食べられるから、北の方よりはよかっただろうね」と言っていました。
日本各地にはその土地にしかない食べ物があり、それぞれにこのような歴史があります。自分には馴染みがないものでも、行った場所の歴史を感じながら、食べてみるのも面白いでしょう。
2月3日は節分。クラスでも「鬼は外」と言って豆を配りました。こうした行事にも歴史があり、それを楽しんで伝えていけるといいと思います。

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