ホロコーストから学ぶ ー人間の尊厳と生きる意味を考える授業ー
2026/01/28
「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー(1月27日)」に関連して、ホロコーストについて学び、人間の尊厳や生きる意味について考えました。
駒沢学園は現在、ユネスコスクール加盟校になることを目指しています。チャレンジ期間にあたる今年度は、各教科で「国際デー」を意識した授業が展開される予定です。
高校3年生の仏教の授業では、世界のさまざまな宗教について学び、それぞれの国の文化・国民性など相互理解を深め、特に宗教がらみの紛争問題、争いなど解決の糸口、平和とは何かを考えています。
それに関連し、1月27日の「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」(International Day of Commemoration in Memory of the Victims of the Holocaust)にフォーカスを当てました。
ホロコーストでどのようなことが行われたかを知り、そこから「戦争とは何か」「人間の尊厳とは何か」について考え、レポートにまとめました。
さらに、アウシュビッツなど複数の収容所から生き延びた精神科医ヴィクトール・E・フランクル(Victor E. Frankl, 1905–1997)の言葉から、過酷な境遇の中でも「生きる」とはどういうことかを学びました。
今回の授業を通して歴史的背景、当時の状況、犠牲者の記録、人類史における意味や現代社会への教訓について、自分なりにまとめることで、過去の出来事を知るだけでなく、現代社会の課題と照らし合わせ、自分自身がよりよい世界の実現に向けて何ができるかを考え、行動に移すきっかけにしてほしいです。

高校3年生がホロコーストの歴史を通じ、
人間の尊厳について考え、各自のテーマで表現しました①
以下は、生徒のレポートから一部を抜粋したものです。高校生とは思えない深い洞察に満ちた感想をご紹介します。
- 今回の学習を通して、与えられた状況の中でも希望を持ち、生きる意味を見失わずに生きることの大切さを学んだ。
- 今後の課題として人種の壁を撤廃することが求められる。人種的な偏見をなくし、すべての人が平等とされる社会作りが今後は必要となってくる。もし同じようなことが繰り返された場合、「人間の尊厳」とはいったいどうなるのか。
- ホロコーストを通して強く感じたのは差別が少しずつ社会に浸透していく危険性である。最初は小さな偏見や軽い冗談のような言葉であっても、それが繰り返され、やがて制度や法律として固定化されることで、取り返しのつかない結果を生むことが分かった。多くの人がその異常さに気づきながらも、声をあげなかったことが悲劇を拡大させた要因の一つであったと考えられる。
- 尊厳とは他者から与えられる地位や名誉ではなく、自分の運命に対して「どう応答するか」という内なる誠実さの中に宿るものだということだ。仏教の視点でこの歴史を見れば、ナチスの行為は諸法無我という心理への完全な背信であった。フランクルの言う「人生からの問い」に答えることは、仏教で言う「慈悲の心」の心を持って、自分と他者を等しく尊ぶことに他ならない。現代社会を見渡せば、SNS上での匿名的な攻撃や属性による差別など、かつて「差別」に似た不寛容さがある。しかし、フランクルが教えた通り意味は探すものではなく、自分自身の「正しい行為」によって作り出していくものである。
- 歴史の制度的な差別構造と現代の情報社会の問題は形が違っても共通点があるため過去の出来事と今の社会につなげて学びを深めたい。
- 杉原千畝の行動の根底にある「人の痛みがわかり他人に対する思いやりの心を育てる」という精神はいじめや差別といった現代社会の普遍的な問題への対策になるのではないかと思いました。
- ホロコーストの歴史から学んだことを忘れず、仏教の教えを意識しながら、一人ひとりの存在を大切にできる社会をつくっていくことが、現代を生きる私たちの課題である。このレポートを通して、その責任を自分自身の問題として考えていきたい。
- 人間の「尊厳」とは、人が人であるだけで存在する価値のようなものだと思う。人は物や道具でなく、命がある「生き物」だ。そのため、倫理を無視した行いなどはあってはならないのである。そのため「尊厳」というのは、誰かにとっての手段や方法ではなく、人であること自体の価値のようなものだと思う。
- 今後の課題として歴史認識の継承と教育のあり方があると考える。ナチスの過去を「自分たちの歴史」としてどう捉えてもらうか、責任と理解をどのように両立させるかが教育上重要な課題である。ヒトラーだけではなく一般市民も加害に関与したという事実やどのような方法でホロコーストを行ったかなどを理解してもらうために必要な「加害教育」が不足しているという課題も近年は浮き彫りになっている。

高校3年生がホロコーストの歴史を通じ、
人間の尊厳について考え、各自のテーマで表現しました②