コマジョリノベ第4弾 -学生寮キッチンルーム計画- 実施する2作品が決定しました!
2016/07/27
住空間デザイン学科3年生が取り組む産学連携課題「コマジョリノベ2016 -学生寮キッチンルーム計画-」の実施案が決定し、秋に向けて2つの部屋が実際に施工されることが決まりました。
課題の経過
3年インテリアデザインスタジオ/建築デザインスタジオ合同による今回の産学連携課題は、八王子市の高尾駅前に建つ学生寮の、共用キッチンルームに対するリノベーション計画の提案です。企業の方々をお迎えした課題説明を行った後日、学生全員で現地を視察し、対象となる建物と部屋の状況を視察しました。
企業の方々を迎えての課題説明
学生寮共用キッチンルームの現地視察
男女別の各階に設けられているキッチンルームは全く同じ形ですが、部屋の大きさに比べて窓が小さいので昼間も照明が必要なほど暗く、あまり居心地のいい場所とは言えません。そこで居住する学生が楽しく交流しながら快適に調理を行うための空間とは何かを考え、学生一人一人がテーマを設定し、約1カ月間デザインに取り組みました。
インテリアデザインコース
建築デザインコース
最終プレゼンテーションは、連携企業である株式会社共立メンテナンスの関係者7名を大学にお迎えし、学長先生を始め教職員が見守る中、開催されました。事前に選抜された12名の学生が、順にスクリーンに投影された図面やドローイングを用いて発表を行い、企業側からの質疑に応答しました。
最終プレゼンテーションの様子
最終プレゼンテーションの様子
その後、企業側で審査いただいた結果、実施案として2作品が選ばれました。選定された2名の学生は、教員とともに企業と実施に向けた打ち合わせを重ね、今秋には提案を元にした2つのキッチンルームが完成する予定です。
発表作品と審査講評
プレゼンテーションの後日、企業の担当者様から、全ての発表作品について大変詳細な審査講評をいただきました。選抜された学生だけでなく、履修した学生全員にとっても非常に有益な内容でした。発表作品の一部と審査講評を以下に掲載させていただき、産学連携課題の意義と成果の一端を感じていただければと思います。
佐藤 勉(住空間デザイン学科)
作品01「cook x eat / fun x relax」
- 【事業部】
- カーペットチェアや壁紙のデザイン性がとても高いと思いました。女の子が気になるデザインだと思いました。
- 【企画・施工】
- 非常にわかりやすいプレゼン資料で、デザイン・様々なアイディア共に魅力的でした。特にカーペットチェアのアイディアはユニークでしたが、今回の狭いスペースにおいては、コストと実用性のバランスに欠けるかなと感じました。
作品02「at Home」
- 【事業部】
- 一見カフェのような空間は、落ち着いて読書をしたりするスペースには最適だと思いました。しかし、食事を楽しむ空間とは少し離れてしまったかなという印象でした。
- 【企画・施工】
- つくりたい空間がよく伝わってくるプレゼン資料でした。家具のレイアウトとしては、「キッチンルーム」というより「シアタールーム」的な印象を強く受けました。天井面に木の梁型をつくるというアイディアも面白かったですが、既存の空調・照明との取り合いを考えると、現実味が薄いかなと感じました。
作品03「はなれて つながる」
- 【事業部】
- デザインがまとまっていて、イメージがしやすかったです。実用性を考えると少し難しいかなと感じました。
- 【企画・施工】
- パースが多用され、つくりたい空間が理解しやすいプレゼン資料でした。コンセプトも面白かったです。天井面との取り合いが非常に多くなる提案のため、既存の天井面の空調・照明等の配置を図面に落としたうえで、無駄な移設等が少なく済む提案として表現していただくと、より現実味を感じる提案になったと思います。
作品04「なごみ」
- 【事業部】
- 畳の色使いがとてもユニークで良かったです。和室なのに可愛い雰囲気を感じました。特に、留学生とのコミュニケーションには最適だと思います。
- 【企画・施工】
- コンセプト・家具の配置等はシンプルですが、色の使い方で個性を感じる提案でした。「オーダーメイドカウンター」のイメージがわかりにくかったため、もう少し詳しく記載があると、より全体の理解が深まったと思います。
作品05「incomplete」
- 【事業部】
- 独創性、デザイン性をすごく感じる作品でした。学生ならではの発想だと思います。全作品の中でも一番大きな机を取り入れている点も良かったと思います。
- 【企画・施工】
- 個性的でありつつも、工夫をすれば実現できそうだと感じる提案でした。実現させるためには、本提案のポイントとなるテーブルの天板・脚の素材と、アルファベットの椅子をどのように用意するのかということについて、もう少し具体的な提案が欲しかったなと思います。
作品06「combination room」
- 【事業部】
- 組み合わせや机、イスのデザインがすごく面白い作品でした。ただ、特注で作るようなものが多い印象でした。
- 【企画・施工】
- たくさんの面白いアイディアを盛り込んでいただきましたが、その分コストもかかってしまいそうだなと感じました。実現性を考えると、お金をかけるポイントをもう少し絞った提案にしていただけるとよりよかったと思います。
作品07「dive」
- 【事業部】
- 個性的で一番印象に残りました。ロケーションが少し寮内の空間からそれてしまった(季節が限定されてしまう)現実的には少し難しいものと感じました。
- 【企画・施工】
- 「キッチンルーム」というテーマを、非常に独創的に解釈されたことに驚きました。独創的な分、実際に施工することを考えると関係者のイメージ共有が難しいので、より具体的にどのような内装材・家具を選定したらイメージしている空間ができそうかということまで調べて提案に盛り込めると、現実味が増したと思います。
作品08「Gathering」
- 【事業部】
- シンプルにまとまっているが死角が多く、寮の中で活用するには少し問題があると思います。色使いが可愛いかったです。料理をする人と、空間でくつろぐ人が分かれていてとても良いと感じました。
- 【企画・施工】
- さわやかで好印象な内装・インテリア提案でした。提案のポイントとなっている「間仕切りの壁をつくる」ことが、空間をしっかり仕切れるというメリットと、死角が増える・コストが発生するというデメリットとのバランスで、判断がわかれる提案になったと思います。
作品09「きっかけを囲む」【選定作品:男性用】
- 【事業部】
- 鏡を使った採光や、配置を変えることのできる机のデザインがよかったです。とても実用的で実現することが出来そうだと感じました。色合いも白を基調とし、明るい印象になることを期待しております。
- 【企画・施工】
- 提案されている内容とプレゼン資料の作り込み方に統一感があり、好印象を受けました。つくろうとしているイメージが理解しやすく、様々な立場の人から共感を受けやすい提案だと思いました。
作品10「人 x 人」
- 【事業部】
- 色合いがスッキリとしていて良いと思います。ドーミー高尾のイメージと合う。圧迫感を感じないようにトリックアートを取り入れた点もすごく良かったです。実際に原木を取り入れたら、どのような空間になるか気になる作品でした。
- 【企画・施工】
- プレゼン資料が非常にわかりやすく具体性もあり、関係者のイメージ共有がしやすいと思いました。「原木を使った木カーテン」については、特徴的ではあるものの、現在のレイアウトでは導線の邪魔になってしまいそうなので、再検討が必要だと感じています。
作品11「つながる」【選定作品:女性用】
- 【事業部】
- ブラックボードやスクリーンを取り入れ、寮生同士の輪を広げていく空間はとても魅力的でした。また、キッチンの作業台を広く設けることにより楽しく調理が可能になると思いました。交流と料理がうまく融合している作品だと思います。
- 【企画・施工】
- コンセプトが提案内容によく反映されているなと感じました。台形のテーブルが実際に使用しやすいかが少し不安ですが、シンプルでありつつも面白い提案だと思います。
作品12「DINING GARAGE」
- 【事業部】
- 家具の配置がまとまっていて良かったです。もし、12フロアの改修をできたときに良いアクセントルームになりそうな作品でした。
- 【企画・施工】
- 内装・インテリアの統一感、プレゼン資料の表現方法は非常によかったと思います。家具のレイアウトも使いやすそうだと感じました。商業施設的な印象が強い提案なので、好みが分かれるかなと思います。
選定学生のコメント
- 作品09:高橋 怜奈さん
この度、私のデザインした男子寮のキッチンルームが実際に施工されるということで大変嬉しく思います。私の案はシンプルです。ここで暮らす学生さんになったつもりで、どうしたらキッチンに行きたくなるかを考えました。見学した際、この空間は薄暗く、天井が低いという印象を受けたので、明るい空間を目指しました。私は家具と照明にこだわりました。角があることで相手と自分のスペースを確保しつつ、交流ができる六角形のテーブルを提案し、テーブルを囲んで料理や食事をして学生さん達が交流するきっかけの場になればと考えています。実現するにあたり、共立メンテナンス様、先生方と案を詰めていき、学生さん達に快適に使っていただけるように頑張ります。 - 作品11:柳澤 沙樹さん
私の提案が選出されたと知った時、嬉しかったと共に、とても驚きました。初めは、「このようにしたい」というイメージを考えました。そこからなかなかまとまらず自分の頭の中のイメージを形にしていくという作業が一番苦労しました。先生やスタジオの友人とアイディアを出し合いながらだんだん形になっていきました。共立メンテナンスの方々の前でのプレゼンテーションは緊張しました。3分間という短い時間の中で、沢山の思いが詰まった提案を説明するのにはどうしたら相手の方々に上手く伝わるのか考え、プレゼンテーションしました。これから実際に打ち合わせをしていくので、共立メンテナンスの方々や先生方のアドバイスを聞き、より良い空間にしたいです。
学生発表の様子 高橋 怜奈さん
学生発表の様子 柳澤 沙樹さん
連携企業担当者からのコメント
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株式会社共立メンテナンス 寮事業首都圏本部 学生第3営業部 遠藤 雅之 様
この度は、最終プレゼンテーション発表の場に参席させて頂きまして、誠に有難うございました。ユニークな学生さんならではの発想や、実際に利用する寮生さんを気付かった作品が多く見られました。選定側の私共も、可能であればすべての作品を作り、寮生さんがどのように喜んで頂けるのか見てみたい気持ちを抑えながら、今回の2作品を選ばせて頂きました。施工実施に向けて、選定させて頂いた学生さんの作品を可能な限りイメージ通りに再現し、学生さんの成果と大きな自信に繋げて頂ければ幸いです。短い期間ではございましたが、「コマジョリノベ -学生寮キッチンルーム計画-」を受講して頂いた学生の皆さん、本当に有難うございました。