リビングデザインカフェは、わたしたち学科の教員がそれぞれの専門領域での活動や、日々の生活の中で感じたり考えたりしたこと、リビングデザインにまつわる話題やエピソードなどを自由に書き込むページです。コーヒーでも飲みながらゆっくり読んで戴ける話題を提供できればと考えています。是非ご意見ご感想をお聞かせください。
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(三戸 美代子)
UIFA JAPON(世界女性建築家会議日本支部)は、東日本大震災に対して様々なアプローチをしていますが、その一つに『どこでもカフェ』があります。これは、岩手県岩泉町の仮設住宅にお住まいの方に、暖かいお茶とゆっくりできる時間を提供しようという試みです。その2回目となる11月6日のメンバーとして、一泊だけの短い時間ですが岩手を訪れてきました。
盛岡から岩泉町へ向かう山間部は、雄大でどこか懐かしい風景が続き、2時間以上の長旅も飽きさせない美しい場所でした。それだけに、沿岸部の被災地区との対比が怖いものに思え、今現在、東京で普通に暮らせていることとのギャップを痛感します。覚悟していたとはいえ、被害状況は頭で理解できる範囲を超えています。ただ、とにかく自分の目で見たということが今後、少しずつ私の核に影響していくことだろうし、そうでなくてはならないという気持ちを強くしました。


集会室も秋の野の花を飾って華やかにさて、残念ながらカフェ当日は寒い雨でした。それでも、プレハブの仮設住宅の集会室の設え(しつらえ)を持ち寄ったもので整え、野の花を飾ると、まさしくそこは『カフェ』でした(私は力仕事担当でしたが…)。住民の方が入口で「わぁっ!」と声を上げてくださるのを聞くと、工夫次第で場の雰囲気を変える力を実感します。
一番人気の抹茶また、席に着く時はなんとなくぎこちなかった方も、同席した方と長く話し込んだり、小さなお子さんを愛でたりと、和やかになっておられました。当事者でなく他者が関わることで、少し日常から離れた時間を持ってもらえたのではないでしょうか。

ところで今回驚いたのは、衣類提供(主に古着)が好評だったことです。通常、衣類は支援物資として敬遠されると言われますが、持参した品を直接顔を合わせてお分けできたので、安心して貰っていただけたようです。被災地の支援と一口に言っても、さまざまな要望に対応するのは本当に難しいです。でもだからこそ、女性ならではの細やかな点に配慮し、継続していくことが大切だと思います。
私に何ができるのか、お役に立てるのか、不安を抱えての出発でしたが、こちらが暖をいただけたようなほっこりした気持ちで帰途につきました。
(写真協力 : 岩泉町役場 有原隼人氏)
(三戸 美代子)
6月6日〜17日まで、建築会館ギャラリーで開催されていた「未来へ ─ 女性建築家のパイオニアたちの肖像展」の受付業務をお手伝いしてきました。このイベントは、歴史的な女性建築家の作品を収集する組織(IAWA:国際女性建築家アーカイブ)が設立25周年を迎えたことを記念し、私も所属しているUIFA JAPON(国際女性建築家会議 日本支部)との共催で行われたものです。
現在、日本では多くの女性が建築家として活躍されており、中でも2010年に建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を妹島和世さんが受賞されたことは記憶に新しいです。しかし、今から約60年前、日本には建築(住居学)を学べる女子大すらなく、また、アメリカですら、50年前には1%しか女性建築家がいなかったそうです。当時の女性たちが、まさにパイオニアとして未来を切り拓いてくださったおかげで、私たちはその苦難の上に敷かれた道を簡単に歩くことができるのです。改めて、深い敬意を表したいと思います。

建築会館のエントランスに並ぶ女性建築家の肖像
新しい時代が進んで行く中で、先人の偉業を振り返り、学ぶということは、大変意義があることだと思います。震災を経た今だからこそ、私たちは少し立ち止まって、進むべき方向を見定めてもいい時なのかもしれません。そんな時にこの展覧会に関われたことは、私自身大変刺激になりました。

展示の中で特に惹き付けられたのは、鈴木貴美子氏の詳細図面(原図)です。
一枚の図面の中に多くの情報を盛り込みながら、図面自体がアートのように美しく、迫力さえ感じました。このような素晴らしい図面があったからこそ、デザイナーから作り手に対して「この建物をきちんと作ってください」という意思疎通ができたのだろうと思います。多くのことがシステム化された現在であっても、その便利さは享受しつつ、決して機械的にならずに、思いの伝わる仕事をしていかなければ、という思いを強くしました。
(三戸 美代子)

この春私たち家族は、約18坪(57.4㎡)の敷地に小さな家を建てました。法律により実際に家が建てられる広さ(建築面積)は半分の9坪、駐車スペース2台分といったところです。
夫婦で設計をしていますと、自分の作品としてたくさんのアイディアを詰め込もうとしたり、デザインを重視しようとしたりしがちですが、私たちは「快適さ」を採りました。そのために、必要な機能(核となるキッチン空間)は確保した上で、妥協できるところは割り切りバランスをとっています。
たとえば我が家には、玄関スペースというものがありません。玄関ドアを開けたらすぐリビング空間となるのですが、周辺環境が穏やかで建物が奥まっているため、実際にはそれ程無防備には感じません。リビングからダイニング、キッチンも隔たりがなく、訪れる方に気軽に食事を楽しんでいただくために、この配置が必要だったとも言えます。

玄関ドアをあけるとすぐリビング空間が出現。
このような暮らし方は、この敷地に置ける我が家にとっての「快適さ」ですが、同じように、依頼主にとっての最大限の快適をつくることが、住宅を設計するということだと私は思っています。対話の中で、依頼主すら意識していなかった希望を形にできたときが、設計者として「やった!!」と思える幸せな瞬間です。
今回の依頼主は自分ということで手強かったですが、住み始めて一ヶ月、依頼主と設計者のコミュニケーションが上手くいった、ということを日々体感しています。

特に気に入っているのは、LDKに沿うように細長く配置したお風呂。初めて見る人はかなり驚きますが、この細さがなんとも落ち着き、ついついウトウト…。快適過ぎも気をつけないとですね。
(写真撮影: 西川公朗)
▼「つくえの住宅」設計:
ココアデザイン一級建築士事務所
http://cocoadesignoffice.com/
works_tukue.html
(三戸 美代子)
前回「薬膳って難しそう?(その1)」において、薬膳を普段の生活に取り入れるためには、というお話をしました。
その答えはズバリ、旬の食べ物を積極的に摂ればよいのです。
現在、多くの食材の効能の研究が進んでおり、日本の気候には日本の旬の食材が季節に特有な身体の不調に効能があることがわかってきています。
例えば暑い夏には、身体の熱を冷まし、解毒効果のある苦みのある食材がいいとされています。ゴーヤが、暑さの厳しい沖縄でよく食べられていることもうなずけます。
また最近では、スーパーモデルからも注目される程、和食は身体によい食事言われていますが、四季の変化が豊かな日本で古くから伝えられてきた食材や味付けの方法などは、薬膳の考え方とマッチしています。
春は暖かく、気分が高揚しすぎることで『肝』(肝臓そのものでなく、自律神経と結びついた生体機能のこと)が弱り、イライラになりがちですが、春に旬を迎える貝類の多くは、肝を癒す効能があります。また、春先によく食べられる酢の物などの酸味は春に必要な味付けとされます。
こうして考えると、自然の力と、それをよく観察して生活に取入れた先人の知恵というのは、本当に素晴らしいですね。しかも、和食では季節を感じるような設え(しつらえ)が大切な為、デザイン的にも優れた食器類を生み出すなどの伝統が育ち、ものづくりをする者としてはとても興味深いです。
今は、どんな野菜が旬かもわかりにくい時代になりましたが、少しでも季節感を大切にした食生活が、心や身体のケアにつながることを知って、これからの食事を楽しんでいただけたらと思います。

旬の食材で季節感を楽しむ和食ってすばらしい!!
(三戸 美代子)

ここ数年、食の安全ということが叫ばれていますね。
もともと食いしん坊であった私は、どうせ作るならちゃんと基礎を知りたい、ということで、家庭料理に始まり、フレンチ、イタリアン、中華、和食などを経て、健康に関心の高い方たちが口にする、玄米菜食、マクロビオティック、薬膳料理などにも触れてみました。その中でも特に興味が深くなった薬膳については、日本中医食養学会認定の『中医薬膳指導員』という資格も取得しています。
「薬膳」と聞くと、特別な薬を入れた料理というイメージが強いですが、実は、普段みなさんが口にしている料理も、薬膳料理といってもいいものが多くあるのです。
そもそも、薬膳とは「中医学」(=中国の医学)の理論に基づいて、食べ物の作用を用いて作られた食事のことをさします。「医食同源」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは「薬食同源」という古典の中の言葉から来ております。中医学ではどんな食べ物にも効能があると考えられ、その中でも効能が強いものが薬(生薬)として差別化されるようになりました。
例えばみかんは皮を干すと「陳皮」というお腹の膨満感やむかつきなどに効く薬ですが、果肉そのままでも食欲不振、口の乾き、咳などに効能があります。用いる食材の効能を知って効果的に組み合わせることが、薬膳の目的とも言えます。
とはいえ、多様な食材の効能を全て覚えるなんてとても大変ですよね。中国や古代ローマなどでも食事の管理ができる「食医」は、内科医や外科医よりも位が高かったと言われるほどです。
では、薬膳を気軽に生活に取り入れるにはどうすればよいでしょうか?
それについては(その2)で詳しくお伝えできればと思います。

「医食同源」という考えを知ることが薬膳の第一歩