趣味の自転車グループ/小林 憲夫(メディア学)


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私は『多摩川サイクリングロードを走ろう』というFacebook上のグループの管理人である。自転車は2007年から乗っていたが、2010年3月、日本版がリリースされて間もないFacebookを使って、近所の自転車に興味ある人たちとの情報交換とライディングを楽しむためのグループを友人と二人で立ち上げた。全国を対象にすると広すぎて「集う」ことができないと考え、東京を流れる川を中心に、『多摩川サイクリングロードを走ろう(略称:多摩サイを走ろう)』『荒川サイクリングロードを走ろう』『江戸川サイクリングロードを走ろう』の3グループを作った。が、その後類似の自転車グループが増えたので、結局『多摩サイを走ろう』のみに注力し、後は放置してしまった(名前だけは残っている)。

現在6年目で、非公開グループにもかかわらず、なぜかメンバー数1035名(2016年12月13日現在)という大所帯になった。メンバーとしては、管理人として全イベント企画・プロデュースをしている私と、Fさんという、これまた全イベント企画担当共同管理人が中心で、この二人でほとんどのイベントを企画・実施している。その他、ライドイベント企画担当のF女史、グルメイベント企画担当のK女史、ポタリング、輪行イベント企画担当のM氏、同じくポタリングイベント企画担当のU氏、自転車店オーナーでプロチームを率いるレース担当のF氏、横浜周辺イベント企画担当のM氏、ブルベ班、長距離イベント担当のO氏、技術班で自転車プロメカニックのY氏、ヨガインストラクターで健康アドバイス担当のS女史、長老で大企業の役職者M氏、プロカメラマンのN氏、トライアスリートのI氏など、多くの個性溢れる人たちによって支えられている。

グループイベントとしては、多摩川スタートを原則とし、距離にとらわれず広くライドイベントを企画・募集して一緒に走るというスタイルを基本にしている。ただ往復するだけでは寂しいので、特別の知識や特技を持っているメンバーと共同開催して史跡めぐりや地域案内を行うなど、バラエティに富んだ内容を心がけている。かつては長距離でハードなライドイベントが多かったが、最近は私自身の体力の問題もあり、ポタリング中心にグルメや観光などを兼ねた緩い企画が多くなっている。とにかく「無理はしない」がモットーなので、イベントを企画して目的地まで行き着けないこともある。理由はマシントラブルであったり参加者の疲労であったりするが、とにかく安全第一で対応している。そのためイベントでの重大事故は一回もない。雨予想でイベント中止した日がピーカンだったりするが、非難をおそれず判断している。

メンバーになるには、Facebookに登録してこのグループを見つけて参加申請するだけだ。もちろんママチャリ以外の自転車に興味がある(できれば乗っている)ことが条件だが、特別なメッセージは不要。管理人として、一応本人のページを閲覧して自転車に関心があることを確認しているだけである。ここにグループ独自の悩みがある。仲間内だけの少人数でざっくばらんなグループにしたいと考えた「非公開グループ」ゆえ、外部からタイムラインが読めず活動がわからないため、興味本位で入会希望する人が多いのだ。そのためメンバー数は多くても投稿やイベントに参加するメンバーは極めて少ない。入会にはメンバーの紹介が必要とか条件を付けておけば良かったのかもしれない。という訳で、アクティブなメンバーは100名ぐらいと少ないが、その分とても仲が良くトラブルはほとんどない。例えば他のSNSに頻発する「炎上」は起きていない。不適当な投稿や宣伝目的の入会などは確かにあるものの、言論の自由をモットーに管理人として適切な書き込みや臨機応変の対応を取ることで大きな問題にはなっていない。

一人乗りが前提の自転車というマシンの性格なのかもしれないが、自転車乗りには初心者やボッチライダーが非常に多いと感じている。そのためにもこうしたグループは存在意義があると考え、さらに活動を活発にすることを最大の目標に、積極的に企画やアイディアを出せるメンバーを増やそうと思っている。またサポートカーの用意などより充実したイベント開催のために、今後は有料の企画も開催していきたい。自転車グループの中には、交通問題や社会的・政治的課題にアプローチしている団体もある。当グループが自転車を対象としている以上、それらの問題に無関心であっても無関係ではいられないので、今後の課題として常に意識はしている。単なる精神論に終わらないためにも、情報や知識を積極的に紹介することを徐々に始めているところである。

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