甘茶のはなし

下橋淳子教授(管理栄養士)

この花は梅雨の季節によく見かけるガクアジサイではありません。
花祭り(灌仏会)に飲まれる甘茶の花です。
甘茶は、ユキノシタ科アジサイ属の落葉低木アマチャの葉を蒸して乾燥させたお茶ですが、植物学的にはヤマアジサイとよく似ていることからその変異種といわれています。

甘茶の甘味は1〜2%含まれているフィロズルチンという天然の甘味成分によるもので、フィロズルチンの甘味は砂糖の約1000倍といわれています。
甘いものを制限しなければならない糖尿病の患者さんに砂糖の代わりに用いられることがあるほか、食塩となじむ性質や防腐作用もあるため、しょう油やたくあん漬けなどの漬物の調味にも利用されてきました。口中清涼剤や歯磨きの味付けにも使用されています。
近年は、甘茶成分の抗酸化作用、免疫調整作用などの面からもいろいろな研究が行われています。

駒沢学園では花祭りに甘茶を飲むことができますから、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

下橋 淳子

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